――サイバー大学のLMSを外部にも売り込むことは考えていますか。
川原 実は世界的に一番大学が利用しているLMSは『Moodle』というシステムなんですね。あるオーストラリア人が開発して、フリーウェアとして配布されており、世界中の大学や企業研修で使われています。ものすごく良くできていて、あるところでHTMLドキュメントを読ませて、それが終わったら設問を答えさせて、誤答だったら前に戻して、3回以上誤答だったら答えを解説してあげるというように、自由度の高い授業運営ができるんです。
サイバー大学でもLMSの自主開発を行っていたのですが、『Moodle』は基本的にタダということもあってかなわないなと思いました。そこで、それならばということで『Moodle』を活用したモバイルのアプリを提供できないかと考えています。『Moodle』では、私たちのLMSのレベルほどのモバイル端末への対応はできていませんから。
――将来的にこんな機能があれば、とかありますか。
川原 一応、今まで課題だったものについては全部実装したつもりなので、あとはそれが本当に想定した通りに機能して、効果を上げてくれるかどうかですね。
こんな機能があればというより、こういったことができるようになると大学そのものが大分変わるのではないかと思います。サイバー大学はネット大学ですべての授業をネット上で行っていますが、普通の大学でもこれができていいはずなんですね。
今、ほかの大学にも提案しているのは、大学間の授業の交換です。一部の大学では単位互換制度を取り入れていますが、これだと本人認証の仕組みがあり、単位を認定できるので、学生がそれぞれの大学のキャンパスに行かなくていいわけです。いろんな大学が地域関係なく、授業コンテンツだけではなく先生の指導も含めた授業そのものを交換できるのではないかという期待があります。
サイバー大学は福岡市に本校があるのですが、福岡県は人口に対する大学の数が東京都、京都府に次いで3番目に多いんです。こじんまりとした都市なのですが、ものすごくいっぱい大学がある。そうはいってもお互いのキャンパスを行き来すると大変なので、福岡市の中で大学のネットワークを作って、それぞれの大学の特色のある科目をそれぞれの学生が受けられるような仕組みを作りませんか、と今提案しています。それは福岡市に限らず、日本に限らず、世界中の大学で同じことができますよね。
そしてもう1つ、今まではみんなPCで授業を受けていたんですね。これは私の予想ですが、今後はiPad2でも授業が受けられるので、PCの隣に立ててマルチスクリーンで勉強するようになるのではないかと思います。片方で授業コンテンツを見ながら、もう一方でレポートを書いたり、ディベートに参加したりということですね。
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