オカシイはオモシロイ――ARは“マッドネス”で広めよう!郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2012年01月12日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

ARを現実的に分析しよう

 AR(拡張現実)とは、現実の環境に電子情報を付加する技術やそのバーチャル環境のことを言う。CGやGPSなどの技術を使って、そこにないものを見せる魔法である。従来の携帯電話でも使えるものはあるが、画面が大きいスマートフォンやタブレット型端末にはうってつけ。アプリやサービス事例には次のようなものがある。

iPhoneアプリの『New York Nearest Subway』。ニューヨークの地下鉄の乗り場や道案内が空中に浮かび上がる。
iPhone/Androidアプリの『vouchercloud』。GPS技術で近くの店舗のクーポンを画面に表示する
iPhoneアプリの『セカイカメラ』。今いる場所にカメラをかざすと、自分や他人の投稿をシェアできる
iPhoneアプリの『SnapShop Showroom』。商品をあたかも買ったかのように見せる
iPhoneアプリの『AR Dinopark』。カメラで写した景色の中に、恐竜がまるで生きているように現れる
iPhone/iPadアプリの『SHISEIDO ビジン道場』。端末に取り込んだ自分の顔写真にメークできる
iPhone/Androidアプリの『Perfume AR』。Webサイトやツアーパンフレットに掲載されたマーカーにかざすと、さまざまなコンテンツを楽しめる

 ARの用途は、おおむね次のように分類できそうだ。

  • クチコミ……道先案内や空間情報、つぶやき
  • ビフォーアフター……化粧前と化粧後、購入前と購入後
  • 転ばぬ先の杖……店舗や味の評価、スタンプラリー
  • ひまつぶし……ゲーム、画像遊び

 クチコミは主に街や店舗の情報提供、ビフォーアフターは商品の販売促進、転ばぬ先の杖は比較サイトやSNSに使われ、ひまつぶしはゲーム要素が強い。挙げた事例には「いいね!」もあるが、ちょっとした販促に過ぎない。「もうからない」のがAR業界の悩みである。

 ちょっと脇にそれるが、今、鳴り物入りで登場した3Dテレビが売れていない。なぜだろう。「目が疲れる」「家では映画館のような視聴体験までいらない」「3Dメガネはズラすと(裸眼対応の3Dテレビでも視線をズラせば)立体に見えず幻滅する」などと言われる。私は「3D機能は楽しいぞ」というメーカーの押しつけがましさがどうかと思う。

 機能が前面に出てしまうと、人は買わない。ARも同じことをやっているのだ。

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