底堅さは見られるものの上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2012年01月10日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8390.35▼98.36

<TOPIX>729.60▼6.68

<NYダウ>11392.69△32.77

<NASDAQ>2676.56△2.34

<NY為替>76.81▼0.31

雇用統計は予想を上回って改善しているものの反応は鈍く、底堅さは見られるものの上値も重い

 日本市場が休場中の米国市場は雇用情勢は好転していることが示されたものの、反応は鈍く、手仕舞い売りに押される格好で底堅いながらも冴えない展開となっています。下値を売り急ぐようなこともなく、下落不安が強いと言う感じでもないのですが、景気鈍化懸念が薄れていると思われる割には株価の上値は重くなっています。それでも、欧州金融不安からの世界的な景気鈍化懸念は根強いものの、足元の企業業績は好調とみられており、決算発表を控えて底堅い堅調な展開となりました。

 足元の景気は決して悪くないのですが欧州問題やその影響での世界的な景気鈍化が懸念され、また、目先的な過熱感もあって上値も重くなっています。ただ、雇用情勢の好転で個人消費の回復が期待され、企業決算に好調なものがみられるとそうした懸念を払拭して、指数も上値追いとなってくるのだと思います。景況感の好転に企業業績がしっかりとついていく状況なのかどうかが注目されます。

 個別には決算発表を控えていたアルコアは大幅高に近い水準まで買われ、引け後発表された決算も赤字幅は予想の範囲内であり、売上高が予想を上回るなど想定された以上の決算となったことで時間外取引でも落ち着いた動きとなっています。雇用統計の改善などがみられたことで好調な決算を期待する向きも多く、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、フォード・モーターなど景気敏感株が堅調、IBMや投資判断の引き上げのあったアップルは利益確定売りに押されたもののインテルは堅調となるなどハイテク銘柄も軟調ながらも下げ渋りとなるものが多くみられました。欧州金融不安があるなかでJPモルガン・チェースは軟調となったもののバンク・オブ・アメリカやシティグループは堅調となるなど金融株も総じて堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 連休前の日本市場は米国株が底堅く堅調となった割りに売られ、大幅安となりました。ユーロ安などを嫌気して売り先行となった後、底堅さがみられると先物にまとまった売りが出て指数を下押すというような展開でした。引け際には、目先筋の買戻しもみられ、下げ幅縮小となりましたが、特に買い戻しを急ぐでもなく大幅安となりました。引き続き欧州不安が根強いことや米雇用統計の発表を控えた手仕舞い売りも嵩んだものと思います。

 連休中の米国市場は底堅い堅調な展開となり、注目された雇用統計も予想を上回ったのですが、一方でユーロ安が一段と進んだことから日本市場は底堅いながらも上値の重い展開となりそうです。中国の貿易統計の発表で中国景気鈍化懸念が強まると嫌気してさらに売り急ぐ動きも出てくるかもしれませんが、逆に中国景気鈍化懸念が薄れるようであってもユーロ安懸念が残るうちは上値も限定的となりそうです。幕間つなぎ的に好業績ながらも売られていたゲーム関連やインターネット関連など、ユーロ安の影響が少ないような銘柄が物色されるのではないかと思います。

 8500円〜600円水準の上値の重さを確認するような格好となってしまいました。今度は8200円〜300円水準での底堅さを確認することになりそうです。ただ、米国景気鈍化懸念が薄れており、下値はその節目の水準まで下がらないかもしれません。ユーロ安が止まるようであれば、8300円台での底堅さを確認して再度8500円〜600円水準まで戻るのではないかと思います。対米ドルも含めて「円高」が止まらない限り上値が重い状況は続くのだと思います。

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