ホームによっても売れ筋が変わる!? 複雑な駅ナカマーケットエキなか!(2/2 ページ)

» 2012年01月10日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]
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停車する電車によっても違いが

 ターミナル駅と郊外駅の違いに加えて、停車する電車によっても違いが出てくる。これは利用する電車によって、発車までの待ち時間が異なることが一因だ。

 待ち時間が一番長くなるのは、もちろん新幹線。新幹線が停車する駅、特に新幹線乗り場の店舗では特に顕著で、土産品が売れ筋になってくるほか、客単価も非常に高くなる。

 これに関連して、以前、JR東京駅ホームにあるコンビニ「NEWDAYS MINI」のデータを検証した時、興味深い結果が出たことがある。調査対象となったのは、同じ時期に建設され、同じ店舗面積、同じ商品を扱っているA店とB店。ところが2店舗の客単価を見ると、約30円異なっていたのだ。

 小さな違いのように思えるかもしれないが、コンビニ業界では客単価が30円も違うというのは大問題。弊社では「客単価が低い店舗の運営状態が悪いのではないか?」と推測しつつ、各種調査を繰り返したのだが、その理由はなかなか判明しなかった。

 最終的に分かったのは、客単価の高いA店があるホームには特急列車が停車し、客単価の低いB店があるホームには普通列車が停車するということ。どうやら特急列車を利用するお客さんは“旅気分(非日常)”であるため、プチぜい沢をするようなのだ。発泡酒ではなくビール、100円の珍味ではなく250円の珍味に……という小さなものではあるが。

 さらに細かく見ると、ロングシート(対面型座席)とクロスシート(ボックス型座席)の違いもある。先ほどと同様に同条件の2店舗を比較したところ、クロスシート車両が前に停車する店舗の方が、ロングシート車両が前に停車する店舗よりも客単価が高くなっていたのである。前者では、ビールや弁当、書籍などが売れているのが特徴だ。

 ぜひ、機会があれば駅ナカの店舗の品揃えを確認していただきたい。最近では、そうした違いに対応して、品揃えを工夫しているはずだ。

著者プロフィール:笠井清志

JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。Facebookはこちら


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