永田町のセンセイたちは、どっちを向いているのか相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年01月05日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 与党・民主党内のすったもんだのあげく、今月招集される通常国会で消費税引き上げに関する法案が提出される見通しとなった。衆議院の任期があと1年半となることもあり、永田町は俄然“政局モード”の度合いを強める。多くの読者と同様、筆者は永田町の議員連にはほとほと愛想を尽かしている。だが、政治全般への関心を失ったのではない。2012年の政治の焦点となるのは、強い個性とリーダーシップで地域社会を牽引してきた地方のリーダーだ。今年初の本稿では、彼らに焦点を当ててみる。

若き市長のひと言

 昨年末から、急速に永田町に不穏な空気が漂い始めた。その中心は間違いなく消費税率の引き上げ問題だ。

 支持率がジワジワと低下する野田政権が、消費税率引き上げを争点に「解散」という伝家の宝刀を抜く場面もありそうだ。しかし、各種世論調査をみる限り、与野党ともに支持を得られていないのが実状であり、政治の混乱は必至。橋下徹氏率いる大阪維新の会が中央政界から熱い視線を向けられているように、永田町は完全に手詰まりであり、求心力を失っているのは明白だ。

 中央政界が力を失っているのとは対照的に、地方の知事や市長が注目を集めているのは周知の通り。実際、筆者も多くの地方のリーダーの動向をチェックしている1人だ。 

 昨年6月、当欄で郷里の新潟県三条市の若き市長にインタビューし、その思いを一段と強くした(関連記事)。福島第1原発の事故に伴い、いち早く福島県南相馬市からの避難民を受け入れた國定勇人市長。インタビューしたタイミングは、東日本大震災からまだ3カ月しか経っていなかった。震災による混乱が続いていた時期に当たる。

 筆者が同市長に対し、当時の永田町の混乱ぶりを尋ねた際、市長から返ってきたひと言が忘れられない(関連記事)

中央政界が力を失っているのとは対照的に、地方の知事や市長が注目を集めている
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