欧州金融不安が一服、好調な経済指標の発表を受けて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月30日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8398.89▼24.73

<TOPIX>722.12△0.67

<NYダウ>12287.04△135.63

<NASDAQ>2613.74△23.76

<NY為替>77.62▼0.23

欧州金融不安が一服、好調な経済指標の発表を受けて大幅高

 前日の大幅安の反動に加え、イタリア国債の入札が順調に進んだこと、また、仮契約住宅販売指数が予想を大きく上回って上昇、住宅指標の改善が見られたことや、シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も予想を上回るなど引き続き足元の景況感の好転がみられることから買戻しを急ぐ動きもあって大幅高となりました。まだ、欧州金融不安に対する懸念はくずぶり続けているものの、景気鈍化懸念が薄れていることで売り難くなっている面もあると思います。

 引き続き足元の景気の好調さを示すような指標が多くみられます。これまでは所謂「ハードデータ」と言われるような実際の統計は好調ながらも「景況感」を示すような「ソフトデータ」は欧州問題もあって芳しくなかったのですが、ここへ来て「ソフトデータ」も決して悪いものではなくなって来ており、欧州金融問題の米国景気への影響も限られているという見方になっていると思います。今後金融規制強化の流れなどで金融機関の資金供給能力が懸念されることがなければ景気回復を織り込むように堅調な地合いが続くと思われます。

 個別には住宅指標の改善がみられたことからKBホームやレナー、DRほートンといった住宅建設株が軒並み大幅高、シカゴPMIが予想を上回ったことでキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感株やインテル、IBMやアップルといったハイテク銘柄も軒並み堅調となりました。原油先物価格は上昇、金先物価格は続落となったのですが、エクソン・モービルなどの石油株やニューモント・マイニングなど金鉱株なども総じて堅調、欧州金融不安が一服となったことでバンク・オブ・アメリカが大幅高、JPモルガン・チェースも堅調と金融株も堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やユーロ安から売り先行となりました。ただ、米国株が高い時に日本市場が軟調となるなど米国株などに関係なく、持高調整の売り買いが中心となるなかで底堅さもみられました。ユーロが軟調となる場面で下値を試す動きもありましたが、大きく下げることもなく、最後は買戻しなどもみられて下げ幅縮小となりました。売り買いの材料に乏しく、相変わらず「閑散小動き」という感じですが「掉尾の一振」を意識してか下げ渋りとなりました。

 米国株が大幅高となったことで日本市場も堅調な地合いが期待されます。「大納会」ということでのご祝儀買いや「掉尾の一振」を期待した買いも入ると思われ、売られすぎた銘柄の反発を中心に堅調となりそうです。年末・年始休暇中の欧米市場の動向を気にする向きも多いのかもしれませんが、ここまで売られてきた主力銘柄を中心に年始の「大発会」でのご祝儀買い期待もあって、売り難く、手仕舞い売りをこなして堅調な展開が期待されそうです。

 引き続きもみ合いの中での動きですが、8500円〜600円水準での上値を確認するような展開となりそうです。足元の景況感の回復は期待されるものの、円高の影響や欧州金融不安に対する懸念が根強く、先行きに対する不安から最後まで買い切れないという状況は続くと思われます。今年1年を通じて、特に大震災以降は「円高」に対する恐怖や欧州経済の停滞による世界的な景気鈍化に対する懸念がずっと付きまとっていたような感じです。ただ、来年はもう少し明るい1年となるのではないかと期待したいと思います。

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