投資を始めたら、絶対に忘れてはいけないこと。それは?教えて岡村先生! お金のことアレコレ(5)(2/3 ページ)

» 2011年12月28日 08時00分 公開
[岡村さとみ,土肥義則Business Media 誠]

1年に1回のリバランスとは

A:そのほかに、何かすべきことはありますか?

岡村:リバランスをしてください。リバランスとは、バランスが崩れてしまったポートフォリオをもとの比率に戻すこと。なぜリバランスをするかというと、割高なものを売って、割安なものを買うことができるからです。

 ここで注意が必要なのは、感情に流されないこと。「この投信、ものすごく上がっているから、さらに買っちゃえ」といった考えは禁物。

A:あ、それって前回も同じ話をされていましたね。「ちょっと得をしたらすぐに売ってしまう。逆に損したときにはズルズルと“塩漬け”にしてしまう。感情に任せて投資をすればこうした事態に陥るかもしれない」と。

岡村:その通りです。ここで下の図を見てください。

リバランスとは、直近に値段が下がったものを買い増し、値段が上がったものを売る行為

 利回り5%を目指すポートフォリオで運用を始めたところ、1年後にはこのようになりました。国内株式が値下がりして20%→16%、先進国株式も値下がりして20%→18%、新興国債券が10%→8%。一方の先進国債券は値上がりして20%→22%、同じく新興国株式が30%→36%になりました。

 ここでリバランスを行えばいいのです。値上がりした商品を売って、値下がりした商品を買い増し、もとの比率に戻す作業ですね。

A:そのままの比率にしておくのは、なぜいけないんですか?

岡村:そうすると、自分が思っていた目標とは違うポートフォリオを持つことになるからです。例えば、新興国株式が上昇し、ポートフォリオが50%になったとします。そうするとリスクが大きくなりますよね。もしリーマンショック級の危機が起これば、自分の資産を大きく減らすかもしれなません。

A:つまり……リバランスをしないと、必要以上にリスクをとってしまうということですか?

岡村:ですね。またリバランスをすれば、リターンが期待できます。なぜなら、安くなったものを買い増して、高くなったものを売れるから。

 「新興国株式が上がってるので買い増そう。そして国内株式が値下がりしているので売ろう」という人は多い。こうした心理も分からないわけではありません。しかし何度も言いますが、感情に流されず、もとのポートフォリオに戻すことが大切ですね。

A:分かりました。でも……1年後に、岡村先生に会わないと忘れてしまいそうです(笑)。

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