大阪の未来はバラ色か? 橋下市長にふりかかる困難ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(特別編・前編)(4/5 ページ)

» 2011年12月27日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

“事件”が起きるワケ

事実上破たんしている行政は少なくないという

中田:こうした“事件”が起きるのは、行政が事実上破たんしているから。メンテナンスができなくなりつつあるので、こうした事件が起きることは避けられないんですよ。

 もちろん命にかかわる問題については、行政も「お金がないから……」といって目をつぶるわけにはいきません。また義務付けられていることは、お金をかけなければいけない。

 逆に言えば、命にかかわること、義務付けられていること以外は優先順位が下がってしまうんです。横浜市がそうだったし、優先順位をつけられないまま今まで通りやっていれば借金がどんどん膨らんでくる。

 大阪市だけでなく、事実上破たんしている行政は見直さなければいけない。多くの人はそう思っているのですが、実際そのことをやろうとすると、当事者から大反発がでる。

 例えば、地方公務員の「こりゃおかしい」というような手当はけっこうあります。「通勤手当」はいいですけど、「徒歩手当」なんて、普通「そんなもんおかしいでしょ!」と思うはず。もらっている人以外の人から見れば「削って当たり前」と思うのは当然。ところが、予算を削られる当事者の人生設計は狂う。

 例えば月々もらっていた1万円の手当てがなくなれば、ローンを返済している人にとっては痛いはず。ましてや給与まで減らされるとなると、ものすごい抵抗がある。だから頭では仕方ないと思っていたとしても抵抗する。

 公務員だけが悪いといった話ではなくて、市民の補助金なども削らなければいけない。しかしその部分を見直すとなると、市民側からもブーイングが出てくる。例えば、横浜市ではバス事業を22年ぶりに経常黒字に転換できました。バス事業を黒字化するには、運転手の給与を引き下げなければいけなかった。

 このことに反対するのは市営バスの運転手さんたち。また働き方の見直しも必要になります。民間に比べローテーションがゆるやかだったので、効率的なローテンションにするなど。これも、反対したのは当事者である公務員だけでした。

 ところが、これだけでは終わらない。どう考えても赤字路線だって見直さなければいけない。路線の統廃合……という話になると、今度は市民から反対の声が出てきました。

 マスコミが反対意見を報じるのも当然のこととはいえ、「市民の足を奪うのか」といった論調になる。高齢化社会が進んでいく中で、赤字路線の廃止は「時代に逆行」といった話になっていく。

ちきりん:「徒歩手当」なんてモノが存在したんですか? ありえないですね……。

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