ちょ、ちょっと怖いよ……海外で行っている「聖ニコラウスの日」松田雅央の時事日想(1/4 ページ)

» 2011年12月24日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 キリスト教を主な宗教とするドイツやオーストリアなどでは、イエス・キリストの誕生を祝うクリスマスは最重要の祭日だ。24日の夜は家族や親しい友人とともに聖なる時間を過ごし、子供たちがプレゼントをもらうのはもちろん、大人もプレゼント交換を楽しむ。

ミュンヘン(ドイツ)の市庁舎前広場のクリスマス市

良い子にはプレゼント、悪い子には

 日本ではあまり知られていないことだが、12月にはクリスマスとは別に「聖ニコラウスの日」という祭日もある。聖ニコラウスは3世紀から4世紀に実在した人物で、弱い者を助け、施しを行った聖人として広く崇(あが)められている。また子供の守護神ともされ命日の12月6日前後には、聖ニコラウスにちなんだ祭りが行われる。

 クリスマスにお馴染みのサンタクロースは、実はこの聖ニコラウスがモデル。12月になると子供たちはクリスマスだけでなく聖ニコラウスの日にもプレゼントをもらえるので大喜びだ。

ドイツの養護老人ホームに現れた聖ニコラウス

 ニコラウスが必ず持っているアイテムが「杖」と「よい子にしていたかどうかをメモした本」。親戚のおじさんなどが聖ニコラウスに扮(ふん)して現れ、子供の行動を詳しく言い当てるのだから子供はビックリだ。実は私も知人に頼まれニコラウスを演じたことがあり、6歳くらいの男の子はニコラウスの神通力に目を丸くしていた。

 そのニコラウスには、ちょっと怖い連れがいる。「クネヒト・ループレヒト(Knecht Ruprecht)」と呼ばれる老人で、黒いボロ服をまとい、大きな袋を背負っている。よい子にはニコラウスがプレゼントを渡すが、悪い子はクネヒト・ループレヒトがこの袋で連れ去ってしまうという恐ろしい存在だ。

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