なぜ若者はクルマから離れていったのか津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(7)(3/5 ページ)

» 2011年12月23日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

出会い方が変化している

津田:「岩手県の陸前高田市でTwitterがブームになっている」という話を聞いて、取材に行きました。陸前高田市は津波の影響で壊滅的な被害を受け、その土地を離れる人が増えました。

 人口が減ってきているので「陸前高田市、もうダメかも」とある人がツイートしたところ「いや、こうすればいいじゃないか」という返事がきた。その返事を出したのは、同じ街に住む人。陸前高田市というのは決して大きな街ではありませんが、ソーシャルメディアを通じて、2人は出会った。そして「一緒にこんなことをやろうぜ」となり、輪が広がっていったのです。

鈴木:ソーシャルメディアでも口コミでもいいのですが、出会い方が変化しているなあと感じています。

津田:ソーシャルメディアを使うと、人に声をかけやすいのかもしれない。例えばTwitterであれば、140字以内で書かなければいけないので、もし無視されても「仕方がないか」とあきらめもつく。だから人と人とがつながっているのではないでしょうか。

鈴木:都会みたいにいろんな人が集まってくることもあれば、地方にいても人をつなげてくれるような場所がある。そこで面白いことが起きているのではないでしょうか。

 それがソーシャルメディアを使ってなのか、それともリアルに人と人が出会ってなのか。いずれにせよ、どんどん違う血が入っていけばいいのになあと感じています。

津田:出会うきっかけはソーシャルメディアであっても、リアルで集まれる場所があればいいですよね。

鈴木:いま津田さんが指摘されたこと、今の20代に一番期待しなければいけないことかもしれませんね。

津田:情報社会が発達するにつれ、自分の置かれている立場を認識する人が増えてきているなあと感じています。例えば「自分は偏差値の高い大学に通っていない。しかも地方。いい企業に就職できないなあ」と考える人も多いはず。僕の知り合いにもそうした人がいましたが、彼はとにかく動き回った。

 そして僕のTwitterを見て、ある日講演会に来た。そしてその講演会で、メディアの人と知り合いになり、つながりができた。今後もしかしたらそこで仕事とかを回してもらって学歴が低くてもメディア業界への糸口がつかめるかもしれない。こういうことの繰り返しで、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)を獲得していくわけです。

 自分の置かれている状況を認識する人は多いのですが、彼のように動ける人間が圧倒的に少ない。これが残念ですが、逆に言えば少ない分、動ける人はそれ自体が大きな強味になる。

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