欧州金融不安が一段落、住宅指標が予想を上回って大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月21日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<NYダウ>12103.58△337.32

<NASDAQ>2603.73△80.59

<CME(シカゴ市場)日経平均先物終値>8460△130

<NY為替>77.87▼0.16

欧州金融不安が一段落となったことや住宅指標が予想を上回ったことが好感されて大幅高

 スペイン国債の入札が順調となったことや朝方発表された住宅指標が予想を大きく上回ったことなどから買い先行となり、クリスマス休暇前の買戻しを急ぐ動きもあって大幅高となりました。金融規制などの問題はあるものの、売られすぎの修正ということで金融株なども買われ、足元の経済指標、特に住宅指標の好転で景気鈍化懸念が薄れたことで買い直す動きもあったものと思います。欧州金融不安が一段落となり、格下げ懸念などもいったんは織り込んだということで、買い急ぐ動きとなったものと思います。

 欧州金融不安が懸念されるなかでドイツの景況感指数も好調ということでこれまでの「懸念」があくまでも「懸念」に過ぎないという雰囲気になったものと思います。米国景気はそれでなくても比較的好調とみられており、企業業績も決して悪くなかったのですが、住宅指標にも好転が見られていることで、景気鈍化懸念が薄れたということだと思います。今後も売られすぎの修正、悲観的に見すぎていた分の修正もみられるのかもしれませんが、まだまだクリスマス休暇明けの動きも気になるところです。

 個別には住宅着工件数が予想を大きく上回って増加したことからKBホームやバルトグループなど住宅関連銘柄が大幅高、レナーやトール・ブラザーズも高くなりました。景気鈍化懸念も薄れたことでインテルやアップルが大幅高、IBMも堅調となりハイテク銘柄は総じて高く、キャタピラーやアルコア、フォード・モーターなど景気敏感株も軒並み大幅高、欧州金融不安が薄れたことでバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株も大幅高となりました。信用収縮懸念が薄れたことで金や原油など商品相場も堅調となり、エクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も大幅高となりました。ホーム・デポが大幅高、ウォルマートやコカ・コーラも堅調となるなど消費関連も高くなり、ほぼ全面高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株は軟調となったのですが、前日の大幅下落の反動もあって買い先行となりました。外国人も株数は売り越し、金額は買い越し、クリスマス休暇前ということで持高調整の売り買いが中心とみられ、寄り付きの買いが一巡となった後はほとんど動きはなく、方向感のない閑散としたん展開が最後まで続きました。東証一部の売買代金も2008年12月以来の低水準となり、クリスマス休暇、年末・年始モードとなった感じです。売り買いの手掛かりにも乏しく、物色対象も絞り切れず指数は堅調ではあるのですが、「冴えない」感じでした。

 米国株高となったことで日本市場も買い先行となりそうです。売買高が盛り上がるのかどうかが注目されるところですが、まだ買戻しが中心で上値も限られてくるのだと思います。対米ドルでは円高気味ということもあり、輸出株なども売られすぎた銘柄は買われるのでしょうが、先行きに対しての楽観的な見方が増えるということでもないのだと思います。年末相場に向けて「掉尾の一振」が期待されるのでしょうが、主力銘柄をしっかりと買い上がるというよりは、幕間つなぎ的に値動きの良い内需株や小型株が買われ、主力銘柄も水準訂正は期待できるものの上値の重い展開が続くと思います。

 昨日の相場でも下値の節目である8200円〜300円水準での底堅さが確認され、米国株高などから今度は上値の節目である8500円〜600円水準を試すことになりそうです。欧州金融不安や世界的なけき鈍化懸念が薄れて、8500円〜600円水準を抜けて8800円〜900円水準◇まで戻るのでしょうし、これ以上円高とならない確信が持てると8800円〜900円水準を抜けて来るのでしょう。まだ買い戻しが主体で8500円〜600円水準の上値が重く、年内は8500円〜600円水準を上値に狭い範囲でのもみ合いが続く可能性もありそうです。

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