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» 2011年12月21日 08時02分 UPDATE

津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(6):「絆」というキーワードが、危険な意味を含んでいるワケ (1/5)

2011年の世相を表す漢字として「絆」が選ばれた。大震災を経験し、日本社会は「家族が大事」「地域が大事」といったムードが漂っているが、そこに危険は潜んでいないのか。ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。

[土肥義則,Business Media 誠]

 ジャーナリストの津田大介さんと社会学者の鈴木謙介さんによる対談連載6回目。今回は「ソーシャルメディアのメリットとデメリット」「『絆』というキーワードが含む意味」などをテーマに、2人が語り合った。

ソーシャルメディアのメリットとデメリット

yd_suzuki11.jpg 社会学者の鈴木謙介さん

鈴木:東日本大震災が発生して、Twitterを利用する人が増えました。しかしこのような声もありました。「Twitterではデマが流れているんですよね?」と。ソーシャルメディアを使えば「ネガティブなことばかりが起きているじゃないか」と考える人も多いように感じています。

 さきほど申し上げた、完璧なプログラムを作ってリリースしなければいけないという発想をする人からすれば(関連記事)、ソーシャルメディアは社会にとってのバグなわけですよ。そのバグありなものを、それでも使い続けるというのは何らかの理由があるはず。その理由とは一体何なのでしょうか?

津田:悪いことはたくさんありますが、それ以上にいいこともあるのではないでしょうか。

 例えば震災があったときには、ソーシャルメディアを使って、人の命が救われました。東日本大地震が発生したとき、その影響で防災無線が壊れた地域がありました。僕の知人の女の子は、そのときTwitterを見ていた。「ものすごく大きな津波がやってくる」というツイートを見つけたので、彼女はすぐに実家へ行って、両親を連れて避難しました。その結果、全員の命が助かりました。

 また彼女が急いで逃げようとしている姿を、近所の人が見ていました。近所の人も事情を知らなかったので、彼女は「津波が来るので、逃げてください」と言った。そしてその近所の人も急いで逃げて、命が助かったと聞いています。

 ソーシャルメディアを使っていなかったら、ひょっとしたらこの人たちは助かっていなかったかもしれない。

鈴木:なるほど。

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