北朝鮮総書記死亡のニュースで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月19日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 週末の米国株はまちまち為替も若干円高となったものの円高が進むということでもなかったのですが、クリスマス休暇前の外国人が売り越し基調と伝えられたことで手仕舞い売り、見切売りが嵩み軟調となりました。昼の時間帯に北朝鮮の金正日総書記が死亡したとのニュースが流れると先物を中心に売り急ぐ動きとなり大幅安となりました。声をそろえて「地政学リスク」ということでリスク許容度の低下から売り急ぐ場面もみられましたが、目先の混乱に対する懸念だけということでとりあえず持ち高を減らす動きが一巡となると底堅さもみられ、戻り歩調となり場面もありました。

 日本の市場参加者だけでは北朝鮮問題も反応し切れないということのようです。北朝鮮問題だけではなく、日本の取引時間に起こっている出来事に反応し切れず、例えば中国の景気が悪いというような指標が出ても日本では反応し切れず、中国景気鈍化懸念から欧米株、特に米国株が下落したら改めて日本でも売りで反応するというようなことが多すぎるような気がします。財務大臣でも「影響が大きいかもしれない」などというコメントを述べるのではなく、事前に想定して置くべきですし、「特に財政レベルでは影響はない」と言い切るくらい、勉強しておいて欲しいものです。

 死亡報道があったあとのいろいろなコメントも口をそろえて「地政学リスク」「北朝鮮の混乱」を嫌気するようなコメントが多かったのですが、実際に次期体制が落ち着いてからでないと発表もできないわけですし、他の国から漏れてきた話ということでもないので、それほど心配はないと思います。とりあえず持高をはずす動きは出るのでしょうが、日本市場では欧米市場の反応をみてからということになるのでしょう。

 ただ、実際に北朝鮮の軍部が暴発するということでもなければ、今後北朝鮮の変質も期待できるわけで、今まで極東アジアで足を引っ張っていた国の生活水準が向上し、資本市場として登場してくるのであれば、むしろ歓迎すべきことだと思います。これ以上良くならないと思っていたところが良い方に浮上してくる可能性もあるわけであり、歓迎するニュースとしてみてもいいのではないかと思います。北朝鮮の市場が開放されるとなると身近なところで大きな市場が登場するということになるのでしょう。もちろん、中国や韓国の企業との競争ということになりますが、大きな市場として見るような楽観的な見方もしておくべきだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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