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» 2011年12月19日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:美術展の混雑から“成功の定義”を考える (1/2)

団塊世代の退職などで、最近は平日でも混雑する展覧会が少なくないというちきりんさん。しかし、運営側としては「美術展が混雑している」ということを単純に成功ととらえていいのか、と疑問を呈します。

[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2006年5月24日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 ちきりんは美術鑑賞が好きで、常設の美術館、博物館の他、多くの企画展を観に行きます。ところが最近は、平日にさえ入場制限がかかるほど混雑するものが少なくありません。引退した団塊世代も含め、今後ますますこういった企画展を訪れる人は増えるでしょう。何か良い工夫はないのでしょうか?

 問題を整理すると、

(1)まずは混雑の偏りです。平日でも入場制限がかかるような展覧会は、土日はまともに観賞できない状態でしょう。また企画展の場合、期間の最後になって、いきなり混み始めることも多いです

(2)内部の動線デザインや展示手法の問題です。特定の目玉展示品を観るための列が、ほかの作品の観賞スペースを占領するような配置は最悪ですし、回遊動線が混乱し、一部のみに渋滞が起こっている展示会もあります

(3)絶対数として観客が多過ぎるという問題もあります。これは開催期間、開催都市数、会場の選択に最初から問題があるからだとも言えます

 これらの問題の解決方法はないのでしょうか?

 例えば、土日と平日の入場料に格差を付ければ、「仕事を早めに終わらせて平日に行こう!」と思う人が出てくるでしょう。開催期間後半の値段を高くすることも有効な方法だと思います。

 さらに、時間区分ごとに予約入場を受け付ければ、時間ごとの入場者数をあらかじめ平準化することもできるはずです。電話でそんなことをやっていてはお金がかかってしかたありませんが、ネットなら一度システムを作ってしまえば運用コストは高くないはずです。

 また、平日も入場制限が行われるような展示会は最初から需給が合っていないのですから、開催時間をできるだけ延ばすことを考えるべきです。

 例えば、開催都市(場所)に都心の美術館のほか、人口の多い東京西部での開催が加われば混雑は大幅に緩和できそうですし、開催日程が延ばせないなら、より多くの夜間開催(夜22時までオープン)や早朝開催(朝6時から開館!)を検討することはできないでしょうか? 都心なら、会社員の人で業務前の1時間を美術鑑賞に当てたい人も多いと思います。

 展示場の工夫については、いくらでも方法がありそうです。パリのルーブル美術館でも、モナリザには世界中の団体客がひっきりなしに押し寄せます。だからその部屋だけは特別にだだっ広く、入り口と出口の動線もきちんと設計され、遠くからでも見えやすい位置にモナリザは微笑んでいます。

 そのほか、小さな財宝を展示する場合でも、一番前の列は「歩きながら見る人の列」とし、その上に一段高い「立ち止まって観賞したい人の列」を作っている博物館もあります。拡大鏡の工夫で遠くからでも大きく見えるようにすることも可能でしょう。

ah_tiki.jpg ルーブル美術館公式Webサイト

 企画展ではなく常設の美術館だから投資できる自由度も大きいのでしょうが、まだまだできることはたくさんあると思います。

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