会社員は何をもって「優秀」と言うのか吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年12月16日 12時29分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 時事日想で「会社員にとって、"実力"とは何か」「会社にぶら下ってはいけない……は信じていいのか」といった記事を書いた。これらに共通しているのが、「会社員は目の前の仕事が少々できるぐらいでは、上司から高く評価されない」という考えだ。

 この2本の記事を書くとき、私は読者の中で特に個人事業主やフリーターなどの人が「こんな記事はナンセンス」と思うのではないか、と感じた。

 その想像は、現実のものになった。知人の個人事業主などはこの2本の記事を読み、「会社員は結局、スキルやノウハウで評価されない」と話す。さらに「だから、辞めてよかった」と口にする人もいた。

 会社員は何を持って「優秀」と言うのか……。結論から言えば、会社員は「全人格的な評価」を受けているのであり、それに耐えられる人が「その会社においては優秀」なのだと思う。

「全人格的な評価」という言葉

 「全人格的な評価」という言葉は、20数年前の学生時代に知った。当時、甲南大学の熊沢誠教授が自身の本で、「日本企業は職務遂行能力だけでなく、性格や生活態度にまで評価が及ぶ。その意味で、全人格的な評価と呼ぶ」と書いていた。

 私なりの解釈で言うと、会社員は日々の仕事を時間内にきちんと行い、上司から高く評価されること。そして、部署の業績や目標達成に積極的な貢献をすること。さらに行動評価などで協調性や規律、リーダーシップなどが優れていると上司から認められることが大切なのだ。

 前述した個人事業主やフリーターなどの人が、記事に反発したのは、その「全人格的な評価」の存在を感じ取っているからではないだろうか。さらに述べると、私の周囲にいる個人事業主やフリーターは得てして協調性や規律なるものを求められることを苦手とする。だから、記事を読むと自分のことを指摘されている気がして、感情的になるのではないかとも思えた。

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