前日の大幅下落の反動から堅調だが欧州金融不安が根強く上値が重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月16日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8377.37▼141.76

<TOPIX>725.02▼11.96

<NYダウ>11868.81△45.33

<NASDAQ>2541.01△1.70

<NY為替>77.83▼0.22

好調な経済指標や好決算に反応、前日の大幅下落の反動から堅調だが欧州金融不安が根強く上値が重い

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回り雇用の改善が期待されたことや午前中に発表された景気指数などが予想を上回ったことに加え、前日の大幅下落の反動から買い先行となりました。ただ、鉱工業生産指数が予想に反して前月比で減少となったことや欧州金融不安も一段落となったとはいえ、懸念が根強く上値も限定的となりました。クリスマス休暇を前に持ち高調整もあり、株式市場だけではなく、商品相場も軟調となっていることも嫌気されて上値を押さえる要因となったものと思います。

 ただ、貿易収支が改善していることにみられるようにドル安効果もしっかりと出ており、ドル安メリットのある銘柄などは業績上振れも期待できそうです。商品相場が軟調なことも信用収縮の動きで投げ売りが出ているのか、決算月であることやクリスマス休暇を前に持ち高を減らす動きなのが判然としませんが、ユーロがしっかりとしていること、ドルが買われているということでもないのですが、ドルキャリー取引の解消なども含めた単純な持高調整ではないかと思います。

 個別には超音波装置のソノサイトは富士フィルムが買収すると伝えられて大幅高、同様に同業のラム・リサーチが買収すると発表したノベラス・システムも大幅高となりました。ラム・リサーチはコスト負担増を嫌気して売られ大幅安となりました。大幅な増益決算を発表したフェデックスも大幅下落、原油や金の先物価格は続落となったのですが、石油株はシェブロンは軟調となったのですが、エクソン・モービルは堅調、金鉱株もパブリック・ゴールドは軟調ですが、ニューモント・マイニングは堅調と、持高調整の売り買いで高安まちまちとなりました。金融株もバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースは堅調、シティグループやゴールドマン・サックスは軟調とまちまち、欧州金融不安に対する見方も一段落という見方とまだまだ懸念されるという見方に分かれているような感じです。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感株も堅調なものがみられ、コカ・コーラやウォルマートなど消費関連銘柄も堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅下落、ユーロや商品相場も軟調となったことから売り先行となり、大幅安となりました。いったん底堅さもみられたのですが、日銀のETF(上場上投資信託)買いに期待した向きの失望売りや見切売りが嵩んで下げ幅拡大となりました。外国人も大幅売り越しと伝えられたことで上値が重く、上値の重さを嫌気した見切売りも多かったものと思います。

 米国市場が底堅い堅調な展開となったことやいったん円高に振れた為替も落ち着いたこと、そして昨日の大幅下落の反動から堅調な展開が期待されます。まだまだ懸念材料が多いことや持高調整の売りも懸念されて上値は重いと思われます。特に売り急ぐ材料もないのですが、米国の景気が好調ということや為替が落ち着きつつあるということしか買い材料になりそうもなく、昨日大きく売られた銘柄の反発は期待されるものの改めて買い直すような動きはみられないと思います。ハイテク銘柄や商社株などのリバウンドを期待、リチウム電池材料メーカーの上場もあり電池関連銘柄などが、また、「休養十分」となっているスマートフォン関連銘柄などが幕間つなぎ的に物色されるのではないかと思います。

 8500円水準をしっかりと割り込んだ形で今度は8500円〜600円水準が上値となりそうです。積極的に買い上がるだけの材料にも乏しく、欧州問題が取りざたされたり、持高調整の売りが続くようであれば年内は8200円〜300円水準を下値に、8500円〜600円水準が上値というような範囲に一段下がったところでもみ合いとなる可能性もありそうです。持高調整の売りが一段落となって8500円水準に戻るようであれば、8500円〜600円水準でのもみ合いで年を越すことになりそうです。

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