米国株安や商品相場安、ユーロ安を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月15日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 昨日に続き米国株が大幅下落、ユーロも軟調となったことで大幅下落となりました。さらに原油や金の先物が大きく売られるなど商品相場が軟調となり、信用収縮懸念もあって手仕舞い売りを急ぐ展開となりました。といってもこの期に及んで売り急がなければならないものが多いということでもなく、寄り付きからの売りが一巡となった後は底堅さもみられました。外国人が大幅売り越しと伝えられたこともあって買戻しも限定的、日銀のETF(上場投資信託)買いも期待されず狭い値幅での動きで大幅下落となりました。

 米FOMC(公開市場委員会)が終わって、QE3(量的緩和)を示唆することもなかったということで手仕舞い売りが続いているものと思います。欧州金融不安が取りざたされて、信用収縮の動きとみられていますが、実のところ単にドルキャリー取引の解消(巻き戻し)ということなのかもしれません。これまで買っていた金や原油の先物も手仕舞い売りに押され、好調な業績ということで買っていたキャタピラーなどを手仕舞い売りし、売っていたJPモルガン・チェースなどを買戻したということなのだと思います。

 ドルで調達していた資金を再度ドルに戻すということでドルも買われたということなのだと思います。ただ、このドルキャリーの解消が果たして季節的な要因、ということだけなのか、本当に信用収縮=リスク許容度が低下することによってリスク資産を圧縮する動きによるものなのか、見方が分かれるのではないかと思います。つまり、いったん市場から退場した資金が12月期末を過ぎれば再度入ってくるのか、それとも、今後欧州問題などが解決してリスク許容度が上昇するまで入ってこないのか、ということです。

 もう少し見てみないとわかりませんが、リーマンショック時のように、信用収縮が一気に起きて一斉に手仕舞いの売りや買戻し、キャリー取引の解消が起こっているということでもないので、一部の資金が期越えの持ち高を嫌気して単純にクリスマス前に持ち高を解消したというようにみておいて良いのではないかと思います。すぐに資金が入ってこないということではどちらも同じかもしれませんが、連鎖的に持高圧縮という動きがでていないので、季節的な要因ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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