欧州金融不安など悪材料目白押しで信用収縮の動きもあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月15日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8519.13▼33.68

<TOPIX>736.98▼3.73

<NYダウ>11823.48▼131.46

<NASDAQ>2539.31▼39.96

<NY為替>78.05△0.15

欧州金融不安など悪材料目白押しで信用収縮の動きもあって大幅下落

 イタリア国債の入札はうまくいったものの利回りが上昇、ユーロが売られたことや中国の反ダンピング課税問題、ブラジルで検察当局から石油会社が全活動停止を勧告されたことやクリスマス休暇を控えての原油や金の先物など商品相場の持高調整の売りもあって信用収縮懸念が強まり大幅下落となりました。世界的な景気鈍化懸念も根強いところで、信用収縮懸念が出たことでリスクからの逃避の動きが一斉に出たものと思います。

 クリスマス商戦が好調、足元の企業業績も決して悪いということでもないのですが、欧州金融不安からの信用収縮の動きと、クリスマス休暇、12月決算をにらんでの手仕舞いの動きが重なっていったん下落となる場面では大きな下落となってしまうようです。これが期末要因ということなのか、それとも来年以降に期待が持てない前触れとなっているのかはまだわかりませんが、特に決定的な売り要因があったということでもないので、QE3(量的緩和)がなかったことでいったん年内は手仕舞っておこうという動きとなったものと思います。

 個別には収益予想を下方修正したファーストソーラーが大幅下落、鉱山向け掘削機械大手のジョイ・グローバルは好調な決算を発表したのですが、期待されたほどではなかったということと出尽くし感からの手仕舞い売りに押されて大幅下落、連れてキャタピラーも大幅下落となりました。ブロードコムが好調な決算となりそうだと報じられて堅調となりましたが、アップルやインテルは地合いの悪さや手仕舞い売りが嵩んで軟調となりました。中国が米国から輸入した自動車には関税を課すと発表したことからフォード・モーターとGM(ゼネラル・モーターズ)は大幅安となりました。欧州金融不安も取りざたされた割には手仕舞い売りが少ない分、バンク・オブ・アメリカは軟調となったものの下落は少なく、JPモルガン・チェースは堅調となりました。シェブロンはブラジル検察当局から全活動の停止を勧告されたということで大幅安に近い下落となり、原油や金先物が軟調となったことでエクソン・モービルが軟調、パブリック・ゴールドは大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やユーロ安から売り先行となりました。それでも節目とみられる8500円水準を割り込んだところでは売りも止まり、下げ渋りとなり、底堅さを確認すると買戻しなどから8500円台に戻すという格好で方向感に乏しい展開となりました。手掛かりに乏しい中で積極的な売り買いも手控えられて指数は小動きとなりました。為替も落ち着いた動きとなってさらに手掛かりに乏しく、結局最後まで方向感はなく指数は小動きに終始しました。

 欧州金融不安が再び取りざたされ、ユーロ安や中国の反ダンピング問題もあって米国株が大幅下落となったことから日本市場も売り先行となりそうです。日銀短観も発表されますが、特に材料視されないのではないかと思います。昨日は底堅さもみられて下げ渋りとなったのですが、再度下値を試すような動きになると思われます。特にユーロが軟調となっていることで欧州での販売が多い輸出株などは見切売りも嵩んでくると思われ、米国で建設機械株が売られたことに加え、世界的な景気鈍化懸念もあって建設機械株などの手仕舞い売りに押されそうです。為替の影響の少ない内需銘柄や小型の値動きの良い銘柄を物色する動きはあるかもしれませんが、主力株を中心に見切売り、手仕舞い売りを急ぐことになりそうです。

 節目とみられる8500円を割り込んだところから押し目買いや買戻しが入るのかどうかが注目されます。また、日銀のETF(上場投資信託)買い期待もあって、底堅さはみられるのではないかと思います。「誤差の範囲」というレベルで8500円を割り込んだところから売り難くなるようでしたらが、案外下げ幅も縮小するかもしれません。年内の動きはさらに上値を押さえられることになりそうですが、8500円〜600円水準の底堅さが確認されれば米ドルは強含みなので下値も限られて8000円台後半での動きが続くと思われます。

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