欧州問題が燻ってユーロが安く、米国株安もあって軟調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月14日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株がFRB(連邦準備理事会)への失望感から売られたことやユーロが下落となったことを嫌気して日本市場も売り先行となりました。ただ、昨日の下落などから売り飽き気分もあって寄付きからの売りが一巡となったあとはいったん戻り歩調となったものの方向感に乏しく指数は小動きとなりました。為替も特に大きな動きになるということもなく、持高調整の売り買いがどちらかに偏るようなこともなく、最後まで手掛かり難のなかで小動きとなりました。

 昨年と同様に先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出が終わると全く動きがなくなった感じです。本来であれば、クリスマスやお正月を前に相場が盛り上がっても良いのですが、自分だけかもしれませんが、年末という雰囲気もなく、市場に盛り上がりがみられません。年末・年始の「大納会」や「大発会」というイベントも取引時間も通常と変わらなくなり、年末もいつの頃からか30日まで取引があるようになって、「証券界」という特別なものがなくなってしまった感じです。

 それでなくてもここのところの相場といえば、欧州問題にばかり引きずられており、日本独自の材料で動くことも少なく、寄り付きの売り買いが終わると、日銀のETF(上場投資信託)買いや単なる持高調整の売り買いに振らされるだけというような展開になっています。個別の材料に反応するものがあってもその動きが業種全体、相場全体に波及するようなこともなく、「○○関連銘柄」といって買われても長続きするということもなく、目先の値動きと海外要因だけで動いているような感じです。

 特に欧州ばかり問題にしているようですが、米国や中国の景気が底堅く堅調であれば、欧州だけがどうにかなってしまうということはないと思います。欧州の金融不安が米国や中国に波及するということは米国や中国の景気が好調であればそれが欧州や日本に波及するという考え方もできるのではないかと思います。商品相場なども徐々に落ち着きつつあり、いったんは欧州金融不安も一段落となってくるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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