ユーロ安やFRBに対する失望から売られて軟調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月14日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8653.82▼101.01

<TOPIX>740.71▼5.98

<NYダウ>11954.94▼66.45

<NASDAQ>2579.27▼32.99

<NY為替>77.99△0.09

ユーロ安やFRBに対する失望から売られて軟調な展開

 ドイツの経済指標の改善などが見られたことやFOMC(公開市場委員会)でQE3(量的緩和)が示唆されるとの期待から買い先行となりましたが、欧州で国債入札は好調となったものの先行きに対する警戒感からユーロが売られたことや小売売上高が予想を下回ったことなどから上値が重くなりました。その後はFOMCでQE3への言及がなかったこともあって失望売りが嵩み、軟調となりました。足元の景況感は悪くないのですが、欧州の金融不安が根強いことやFRB(連邦準備理事会)に対する期待が薄れたことから見切売りが嵩んだものと思います。

 クリスマス気分が強いなかでFOMCに対する期待も根強かったことで失望感が強まったものと思います。小売売上高も予想を下回ったことでクリスマス商戦に対する期待もしぼみ、いったん手仕舞うという展開になったものと思います。ただ、FRBがQE3に言及しなかったということや逆に言えば景気後退懸念が薄れているということでもあり、足元の景況感の好転とクリスマス気分がさらに強まってくると強含みの展開となってくるのではないかと思います。

 個別にはモルガン・スタンレーはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を巡る訴訟が和解したということで一時大幅高となりましたが、相場全体の下落にあわせて軟調となり、ボーイングは過去最大の受注を発表して買い先行となったものの横ばいとなり、デュポンも2012年の増益見通しが好感されて買われたものの地合いの悪さに押されて軟調となるなど、相場全体の流れで冴えないものが目立ちました。べストバイは芳しくない決算を発表して大幅下落となるなど悪材料には過剰に反応していました。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株が軟調、アルコアが大幅安となり、キャタピラーやインテルなども軟調となるなど景気敏感株も軟調となりました。原油先物価格が高いことからエクソン・モービルやシェブロンは高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やユーロ安から売りが先行、大幅安の始まりとなりました。それでもユーロが下げ渋り、日銀のETF(上場投資信託)買いも見られて下げ渋る場面もあり、また節目とみられる8500円水準からは売り急ぐ動きもなく、方向感に乏しい中で下値を試す動きとなりました。売り飽き気分もあり、閑散としたなかでは決定的な売り材料でもないと売り難いということでしょう。欧州金融不安や世界的な景気鈍化懸念も根強く下値を試しながらのもみ合いの範囲内ということのようです。

 米国市場は底堅いながらも軟調な展開となり、欧州金融不安も根強いことに加え、ユーロ安が進んだことから、日本市場は軟調な展開となりそうです。ただ、決定的な手掛かりにも乏しく、売られすぎの修正などはみられ、底堅さもみられるのではないかと思います。注目される韓国ゲーム会社の上場があり、連れてゲーム関連銘柄などが物色されるかもしれませんが、相場全体を下支えするということでもなく、指数自体は底堅いながらもユーロの動きに振らされることになりそうです。商社株や重電株などの見直し買いも期待されるのですが、ハイテク銘柄など円高の影響が大きな銘柄は軟調となりそうです。

 引き続き8500円〜600円水準での底堅さを確認するような展開になりそうです。ユーロ安が進んでおり、大きく円安に振れるということでもないと目先的には8800円〜900円水準の節目を目指す動きになるというよりはあくまでも下値固めと言う雰囲気ではないかと思われます。欧州金融不安や世界的な景気鈍化懸念が払拭されるまでは上値も重く、下値固めというような展開が続くと思われます。

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