「SQ」ってナニ? 震災後に変化したモノ津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(3)(2/4 ページ)

» 2011年12月14日 08時03分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

政治のネットメディアを立ち上げる

津田大介さん

津田:僕は2012年に、政治のネットメディアを立ち上げようと思っています(関連記事)。記者と編集者を雇うつもりでいて「この人と一緒にやりたい!」と思う人はたくさんいる。しかし「彼は、大手新聞の記者だしなあ」と考えると、ちゅうちょしてしまう。

鈴木:さすがに大手新聞社の記者を一本釣りすることは難しいということですね。

津田:ですね。「1000万円も支払えないよなあ」と思ってしまう(笑)。

鈴木:ハハハ。

津田:しかも「彼には奥さんと子供がいる。家族を養わなければいけない立場の人を、呼ぶわけにはいかないなあ。うまくいくかどうかも分からないし……」などと考えてしまいますね。

鈴木:なぜ大手新聞社で記者をしていると、津田さんのメディアで書いてはいけないんでしょうか。とにかくフリーランスで、次の日から「津田さんのところでお世話になります」といった極端な話を想定しなくてもいいと思う。とりあえず匿名で記事を書くのもいいのではないでしょうか。

 まずは匿名で記事を書き、津田さんのメディアがマネタイズできるようになってから、社員になる。そして社員になるときにはすでに1年のキャリアがある、といった形でもいいと思う。

津田:なるほど。ま、匿名で書いている記者もいますよね。どことは言いませんが、給与の低い新聞社の記者は多いと聞いています(笑)。

鈴木:ハハハ。

津田:週刊誌に無記名で書いていることが多い(笑)。

フリーになるのはギャンブル

鈴木:最近の新聞は署名記事も増えてきたので、本を出版したりしてもいいのではないでしょうか。

津田:会社を辞めて、フリーになるというのは、日本ではまだまだギャンブルなんですよ。なので「会社で働くよりも、フリーの世界のほうがいいよ」という話をしても仕方がない。

鈴木:フリーのよさは分かっているけど、「自分には家庭もあるし……」となって黙ってしまうのはクールビズのようなもの。

津田:クールビズ?

鈴木:日本の夏は、蒸し暑い。多くのサラリーマンは「上着を脱ぎたい」「ネクタイをはずして、涼しい服装でいたい」と思っていたけど、周囲の人はきっちりとした服装をしている。なので「自分も同じ服装で……」という考え方の人が多かった。

 しかし今では、ネクタイをしていないサラリーマンだらけ。夏だけではなく、冬でもしていない人が多いですよね。

 クールビズのようにやったほうがいいと分かっていながら、誰もやらないことはものすごく多い。やったほうがいいのにと思いながら、なんらかの原因があってそれができないでいる。それって結局、本人のやる気の問題ではなくて、気持ちをうまく形につなげる手段が欠けているという問題なんですよね。

津田:なるほど。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.