一時下値を試して下げ幅縮小となるも結局大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月13日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 欧州金融不安が取りざたされて米国株も大幅下落となったことから売り先行となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系9社ベース)が売り越しと伝えられたこともあり、午前中は大幅安で寄り付いた後も戻りは鈍く指数は小動きとなりました。午後になると日銀のETF(上場投資信託)買いやユーロ売りが一巡となったことから、目先筋の買戻しも交えて下げ幅を縮小、軟調という水準まで戻りました。上値を買い上がる理由が特にみられたということでもなく戻りも限られましたが結果的に底堅い展開となりました。

 相変わらず欧州金融不安が取りざたされています。年明けにでも欧州各国の格下げがあるのではないかとの見方が強いということでしょう。ただ、先週末の首脳会合でも特に何も決定されることもなかったのですが、欧州各国の中では当然、何とかしなければならないという雰囲気になっているのではないかと思います。何度もこのコラムでも述べていますが、要は銀行にお金がしっかりとあるのかどうか、リスクを取れるお金があるのかどうかが問題であり、その資金はIMF(国際通貨基金)などもしっかりと供給するということなのですから、ある程度のリスク許容度は保たれると思います。

 銀行間レートが上昇しているという指摘もありますが、クリスマス休暇を前に年度末ということで資金の回収や期越えの資金調達などがあり、日本でも3月になると短期金利の上昇がみられる場合があるのと同じではないかと思います。日本でもかつて3月に金利が上昇したということで大騒ぎしたことがありましたが、特に問題となることもなく、4月になると何事もなかったかのようになりました。欧州の銀行が本当のところどうなのか確かなことはいえませんが根本的に「リーマンショック」といわれるときとは違うような気がします。

 米インテルが売り上げ見通しを下方修正しましたが、これも多分にタイの洪水の影響もあると思われ、これをきっかけにハイテク銘柄を中心に業績がどんどん悪化するということでもないと思います。工作機械受注が順調に伸びているように洪水被害からの復旧需要も生じており、徐々に通常化するところから、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)などの需要も膨らんでくると思います。悲観的にみる癖ができてしまっているようですが、ここはあえて楽観的にみてみるのもいいかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.