コラム
» 2011年12月13日 08時00分 UPDATE

欽ちゃんからナベツネまで――脱・老害の傾向と対策 (1/2)

定年を大きく超える年齢の人々が大きな力を持っている政界や経済界、芸能界。大阪市長選に象徴されるように今、若者世代とお年寄り世代との対立が深まっている。

[中村修治,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


 Googleで「老害」と検索すると関連する検索キーワードとして、次のような個人名が上がる。「三宅久之」「東郷平八郎」「宮崎駿」「萩本欽一」……。

 さらに深くネットの情報をたどっていくと、その中でも萩本欽一氏(=欽ちゃん)へのバッシングが激しいのが分かる。その論調のほとんどは「お笑い芸人なのにまったく面白くなく、感動の押し売りしかできない老害である」というもの。発信者の多くは、現在テレビで活躍する若手のお笑い芸人たちのファンである若年層。バッシングの矛先は、欽ちゃんを担いでお涙頂戴番組を作ろうとする放送局にも向けられている。

 そして、その批判の矢面になっている番組「全日本仮装大賞」を放映する日本テレビを経営する役員たちの平均年齢は、70歳を優に超えている。御年70歳の欽ちゃんを担いでいるのは、70歳を越えている良き時代を謳歌(おうか)した放送局の人間たちなのである。

 そんな高齢者役員が跋扈(ばっこ)するマス媒体各社がヨイショする経済界のトップは、住友化学会長であり日本経済団体連合会会長である米倉弘昌氏。1937年(昭和12年)生まれの74歳である。

 ちなみに、凋落著しい日本の大手エレクトロニクスメーカーである日立、パナソニック、ソニー、シャープ、富士通の役員平均年齢は60歳を超えている。帝国データバンク「全国社長分析」によると、1981年には52歳1カ月だった日本の社長の平均年齢は2010年には59歳7カ月と30年連続で上昇している。2010年の社長交代率は2.47%で、過去最低を更新。責任もとらずに、年寄りたちが居座っている日本の資本主義社会の実態が分かってくる(参考記事:「ボツになった『テレビ産業壊滅の真相』記事」)。

ah_nau1.jpg 社長の平均年齢の推移(出典:帝国データバンク)

 老害と言われて久しい読売新聞グループ本社会長・主筆、読売巨人軍会長であらせられる渡邉恒雄氏は、何と1926年(大正15年)生まれ。86歳のご老人の一言に、こんなに世間は右往左往しなくてはいけないのか……よく分からない。2009年の衆議院選挙で当選した議員の平均年齢は、52.0歳と意外と若い。しかし、当選議員に占める60歳以上の割合は30.2%。大臣や党幹部は、当選回数が優先されるので、当然もっと高くなっている。

 お年寄りがたくさん投票に行くから、お年寄りのための政策を推し進めるお年寄りの政治家が選ばれ、お年寄りの経営陣が運営する放送局と結託して、お年寄りたちの決断で、お年寄り国家は前へと前へと退化しているのである。

 前述の欽ちゃんへのバッシングは、裏を返すと「お笑い」をテーマとした世代間対立と見ることができる。こんな世代間対立がいろんなところで起こっている。その顕著な例は、大きな話題となった先日の大阪ダブル選だろう。大阪市長に圧倒的な票数で当選した橋下徹氏。その得票の特徴は、年代別では、70歳以上の51.5%が対抗馬である平松氏に投票したものの、30代以下では70%以上が橋下氏に投票。引いて見てみると、大阪市長選は世代間対立の選挙で、高齢者の支持を仰ごうとする古い世代の人たちに、若い人たちが立ち向かった構造であったことが分かる。

ah_nau2.jpg 大阪市公式Webサイト
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