「南米の東大」サンパウロ州立大の日系人率は20%超――サンパウロ新聞記者、植木修平氏世界一周サムライバックパッカープロジェクト(3/4 ページ)

» 2011年12月13日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

移民3世、4世はブラジル社会への同化が進む

――日系人社会の現状について教えてください。

植木 今年で日系移民が開始されてから103年が経ちました。移民の高齢化や3世、4世がブラジル社会に同化していることから、日本語話者は減少し、日本の習慣なども徐々に薄れていっています。これは良いことでも悪いことでもないと考えています。

 すでに4世の結婚相手は日系以外が9割だと言われています。彼らは、古い概念にとらわれず、高校進学時から米国に渡るなどダイナミック。英語教育熱も高い。日系社会には古い日本の良さと、ダイナミックな変化が同居しているのがすごく面白いです。

――ブラジルと日本の違いをどういった部分で感じていますか?

植木 痛烈に感じているのは、ブラジルは「多様性に寛容」であること。「人と違うのが当たり前」という感覚がスゴイ。逆に日本は「同質化社会」。小さな違いをすごく気にします。

 ブラジルではおじいちゃんなのに中学生もいます。学びたければ何歳からでも学べるからです。働きながら大学に行くのはもはや当たり前。みんな自由なスタイルで目標に向かう。それに対してどうこう言う人もいません。とても素敵だと思います。

 ここに来ると日本型の人生設計スキームは選択肢のほんの1つだけだということが分かります。

――言語の壁以外に、ブラジルに来てから立ちはだかった困難はありますか?

植木 まったくありません。困難は言語だけ。食事がおいしくて、女の子もかわいい。もともと、どの国にも順応するのは早い方です。治安も想像していたよりいい。

 言葉は勉強ではなくてスポーツだと言われますので、毎日使わないとダメみたいです。日系社会もサンパウロ市みたいに大きすぎると日本語で済むので、常に使うように意識しないといけないですね。そのため今は学校に通うほかにも、語学の家庭教師をしてもらっています。

――海外で働くことの魅力について教えて下さい。

植木 ネタにあふれていること。濃密な日々を味わえること。苦労さえ楽しみになること。それが自分の成長につながること。

 長く働くと特に日本と変わらなくなるのでしょうが、今は毎日刺激がいっぱいです。こんなに楽しいことはありません。

――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。

植木 来年からアマゾンやド田舎までブラジル国内を隅々まで回る計画です。そこで、より多くの移民の証言を残していきたいと考えています。

 また、野球ブラジル代表の活躍を伝えることで日系社会に新たな「熱」を伝えたい。今は成長するブラジルとともに自分も熱く生きることに一生懸命です。

 将来的にはこの仕事が本当に好きなので、ずっと何かを伝える仕事(マスコミ)をしていたい。それは日本でもブラジルでもアフリカでもどこでもいい。でも、できればサッカーに関わる仕事がしてみたいなあ(笑)。

 それと、最近知ったのですが、ブラジル隣国のパラグアイの日本人向け永住権枠があと8万人分余っているらしいです。日本人なら簡単に少額で永住権が取得できるそうなので、勢いで、今年のクリスマス休暇あたりに永住権をとってみようかなあと考えています(笑)。

――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。

植木 人生は思いっきり生きれば、不思議と疲れません。めちゃくちゃな感じで適当に自分のやりたいことをぶちまければ、正解。世界は適当に回ってるんでやりすぎぐらいがちょうどいい。ブラジルならなおさら。ブラジルは日本人に一番合うかも(笑)

 チャンスは現場にたくさん落ちすぎています。ブラジルに来る機会があったら、サンパウロ新聞まで遊びに来てください。

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