ECB総裁のコメントに失望して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月09日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<NYダウ>11997.70▼198.67

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米雇用の改善は見られるものの、ECB総裁のコメントに失望して大幅下落

 ECB(欧州中央銀行)が利下げを発表したものの、国債買い入れを否定したことから欧州金融不安が強まり、欧州景気鈍化が世界的な景気鈍化につながるとの警戒から売られ大幅安となりました。朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回り前週よりも改善したのですが、欧州問題の比重が大きく、特に取りざたされることもなく、手仕舞い売りを急ぐ動きもあって大幅下落となりました。欧州首脳会議も期待できないという雰囲気になり、欧州問題がまた大きくなるのではないかとの懸念も強まり大幅安となりました。

 米国では景気鈍化懸念が強まるとQE3(量的緩和)が取りざたされて相場の、景気の下支えとなるのですが、欧州では危機感が強いにもかかわらず、量的緩和まで踏み切れないということで米国でもQE3を期待できないのではないかとの懸念につながった面もありそうです。世界的な金融緩和が資源価格の上昇などを招き、物価への影響も大きいという懸念が欧州では根強いということなのでしょう。中国の金融緩和も含めて世界的な金融緩和が期待されるなかでの国債買い入れ否定ということで失望も大きかったのだと思います。

 個別には欧州での金融不安が強まったということでシティグループやバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースなど金融株が軒並み大幅安、アルコアやパブリック・ゴールドも大幅安、エクソン・モービルも軟調となるなど資源株や金鉱株、石油株なども軟調、欧州金融不安からの欧州景気後退、そして世界的な景気鈍化懸念から大型受注が報じられたボーイングも下げ渋りとなったものの、軟調、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感株やインテルなどのハイテク銘柄も総じて軟調となりました。米国景気鈍化につながったということでもないことから、地合いの悪さに押されたもののコカ・コーラは小幅安に止まり、世界的に既存店売上高が好調と報じられたマクドナルドは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株は底堅く堅調で為替も落ち着いていたのですが、寄り付き前に発表された機械受注が予想に反して前月比で下落となったことから売り先行となりました。中国や豪州の景気鈍化懸念なども取りざたされ、先物・オプションSQ(特別清算指数)算出を控えて持高調整が中心となり冴えない展開となりました。外国人も売り越し基調と伝えられて戻りも鈍く、持高調整の買戻しが入って下幅縮小となる場面もありましたが、大きな動きにはならず軟調となりました。

 米国株が大幅下落となったことやユーロ安となったこともあり、日本市場も再度下値を試す動きとなってきそうです。それでも逆に米国株ほど大きく戻っていたということでもなく底堅さも見られると思います。昨日の相場でも早めの手仕舞い売りに押されるものも多かったことで週末の手仕舞い売りもある程度は限定されそうです。先物・オプションのSQ(特別清算指数)は若干売りが優勢となりそうという見方もありそうですが、目先筋の買いなどで底堅さはみられるのでしょう。SQ後の市場も参加者の減少などが懸念され、戻りも鈍いと思われますが中国の経済指標の発表に振らされる場面もあると思われます。為替が落ち着けば輸出関連銘柄などにも底堅さがみられるのでしょう。幕間つなぎ的に小型の値動きの良い銘柄が物色されるのでしょうが、物色対象も絞りきれず、相場全体での調整となりそうです。

 下値を試す動きとなるのでしょうが、8500円〜600円水準での底値固めという状況には変わりないと思います。週末、SQということで寄り付きからしばらくは右往左往することになるのでしょうが、寄り付きの売り買いが一巡となると動きも鈍くなりそうです。8500円台前半では売り難く、8600円台後半では買い難いという展開となりそうですが、当面、月内=年内は8000円台後半でのもみ合いが続きそうです。

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