津田:『ガジェット通信』や『ロケットニュース24』などを見ていると、いわゆる“釣りタイトル”が多い。なぜ釣りタイトルが多いかというと、アクセスが集まらないから。逆にいうと、そうすることでしかお金を集める手段がないという不幸でもあるんですよ。
個別の記事で読むと良い記事や「お、これはマスメディアでは絶対に載らないオルタナティブなジャーナリズムだな」ってものもあるんですけどね。人の不幸や叩きやすいものをひたすら叩いてアクセスを集めてそれでお金に換えるという状況は不毛だな、と思いますね。
鈴木:マネタイズの問題であると同時に、アクセス数という明確な数字に表れる、読み手の方の要求の問題でもありますね。
津田:アイティメディアの親会社はソフトバンク。いわばソフトバンクの資本という“水溜り”がある。また新聞社がWebサイトを運営できるのは、本業で一応もうかっているからその“水溜り”でできるだけのこと。
ある通信社の記者はこのように言っていました。「僕はずっとネット向けに記事を書いてきた。だからネットメディアの人間です」と。でも彼は、独立系のネットメディアで食っていくことの大変さを分かっていない。大手通信社は資本力があり、その余裕がある中でWebサイト上に記事を配信している。その違いはものすごく大きいですね。
自分がやりたいことを突き詰めていくと、なかなかお金に結びつかない――。こうした課題がありますね。
鈴木:僕はこれまでラジオで話すことが多かったのですが、最近はテレビに出演する機会が多くなりました。テレビに出るようになって「文法が違うなあ」と痛感しています。そんな中で、大阪市では橋下新市長が誕生した。メディアは「遅れてきた小泉」などと指摘していましたが、彼はテレビによく出ていることもあって“テレビの使い方”に長けているなあと感じました。
小泉劇場のときには「テレビメディアと政治」というくくりで語られてきました。しかし大阪のW選挙を見ていると、「テレビ的メディアと政治」だけでなく、「ネットメディアと政治」という世界についても考える必要があると思えてきました。
津田:そうですねえ。
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