ボーナスが支給されたら、すべきこと吉田典史の時事日想(3/4 ページ)

» 2011年12月09日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

ダブルスタンダードの論理

 ここまで話し合うと、疑問が湧いてくる。一言で言えばつじつまが合わないのだ。「4の評価を受けていいはずの業績なのに、なぜか3の評価を受けている」といったものだ。そこで知るべきは、上司は評価を下すときには、「ダブルスタンダードの論理」で判断している可能性があることを忘れてはいけない。

 1つのスタンダードは、人事部が作った評価制度であり、それにもとづいて上司がつける評価。もう1つのスタンダードは上司の心にある評価。つまり、「あいつを今度、課長補佐にしよう」とか「こいつを他部署へ追い出そう」というものだ。前者が建前、後者が本音と言っていいのかもしれない。

 上司は、後者の思惑で部下を判断する可能性がある。例えば、人事部が作った評価基準にもとづいて評価をすると、課長補佐にしようと思っている部下の点数が低いときがある。そこで、実際よりもあえて評価を高くつけることで、その課長補佐候補の社員をその役職につかせようとするケースがある。このようなことを証言する管理職は10人いたら、3~4人はいるだろう。これは、後者のスタンダードが強く意識された結果とも言える。

 そして、この後者のスタンダードが一段と強く働くのが、行動評価であることを肝に銘じておきたい。つまり、「協調性」とか「リーダーシップ」「規律」「チームワーク」などだ。

 これらの基準はあいまいであり、上司の恣意・主観が働きやすい。人事部はそれを防ぐためにガイドラインを設けるときがある。「こんな行動を取ったときは、協調性があると評価するように」と書かれた、30〜50ページほどの冊子だ。

 しかし、これもまた人事部が作ったスタンダードであり、上司の心にはもう1つのスタンダードがある。上司はそのガイドラインとは違う論理で判断する可能性がある。ここまで述べたカラクリを理解すると、行動評価が上司にとって部下をコントロールするための“ツール”として使われていると見ることもできる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.