欧州首脳会合やIMFへの期待もあって底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月08日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8722.17△147.01

<TOPIX>749.63△11.62

<NYダウ>12196.37△46.24

<NASDAQ>2649.21▼0.35

<NY為替>77.65▼0.07

欧州金融不安から売り先行となるも、欧州首脳会合やIMFへの期待もあって底堅い堅調な展開

 朝方は欧州各国の格下げ問題などを嫌気して売り先行となりましたが、欧州首脳会合で欧州安定化基金(EFSF)の資金拡充などから欧州金融不安解消への進展がみられるのではないかとの期待や、G20がIMF(国際通貨基金)に融資枠を設定すると報じられたことから買戻しも入りダウ平均は堅調、ナスダック指数も最後は小幅安となりましたが堅調となる場面もあり全体としては底堅い堅調な展開となりました。クリスマス商戦が好調と伝えられることや日本時間の早朝に発表された消費者信用残高が予想を上回ったことにみられように米国での足元の景況感は決して悪くなく、欧州発の世界的な金融不安からの景気鈍化懸念が薄れれば買い直されるものも多いと思われます。

 先週の大幅高の反動もあり、まだ利益確定売りなども多く上値も重いのですが、米国内要因で売り急ぐようなことは今のところみられないようです。欧州の銀行の資金ショートなどから欧州景気が鈍化その流れで中国や豪州の景気が鈍化し世界的な景気鈍化につながるとことは警戒されるものの、足元の景気は好調ということで徐々に売り込み難くなっていると思います。QE3(量的緩和)の話題は少なくなりましたが、景況感が悪化する場面ではまた取りざたされてくるのだと思います。

 個別には「カリスマ主婦」の家庭用品を手掛ける会社との資本・業務提携を発表したJCペニーは業績改善期待から買われて反発、投資会社が買収提案をしたタルボットが大幅高となりました。モンサントは2011年9−11月期の一株利益が予想を上回って上方修正となったのですが、通期見通しを据え置いたことが嫌気されて軟調となりました。欧州金融不安解消期待からバンク・オブ・アメリカやJPモルガンチェースが堅調となるなど金融株は総じて堅調、インテルやIBMは堅調で下がアップルは軟調となるなどハイテク株はまちまちとなり、GE(ゼネラル・エレクトリック)やフォード・モーターが高く、キャタピラーやアルコアが軟調となるなど景気敏感株もまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株がまちまちとなるなかで前日の大幅下落の反動から買い先行となりました。ただ、外国人も引き続き売り越しと伝えられて上値も重く、いつものことながら小幅な値動きでのもみ合いとなりました。昼の時間帯から先物・オプションの最終売買日を意識するように先物にまとまった買いが散発的に見られ、その都度指数を押し上げるような動きもあって大幅高となりました。先物主導で指数を押し上げただけということで、先物は最後は手仕舞い売りに押されましたが、日経平均は高値圏での引けとなりました。

 欧州金融不安が一段落となったことで米国株は底堅く堅調となり、日本市場も底堅い堅調な展開が期待されます。ただ、米国市場でもそうですが、決定的な買い材料というものもなく、先物・オプションSQ(特別清算指数)算出に絡む思惑や持高調整の売り買いなど目先の需給要因に振らされることになりそうです。米クリスマス商戦への「期待」、欧州首脳会談への「期待」、中国の金融緩和への「期待」と期待先行となっている感もあり、円高が止まるというような日本市場だけにメリットのあるような材料もなく、方向感の掴み難い相場は続くと思われます。本日も、昨日売られた銘柄が買われ、買われすぎた銘柄が売られるというような物色対象の絞りきれないような指数先行の動きとなるのでしょう。

 ようやく、8500円〜600円水準での底堅さが確認され、今度は上値の節目である8800円〜900円水準を目指す動きとなって来そうです。米国景気動向も決して悪いものでもなく、すぐにQE3(量的緩和)が取りざたされるということでもなさそうですし、欧州金融不安も一段落となって、円安となる理由はないのですが、逆に円高となる理由もないことから、売られすぎの修正もあって上値の節目を試す動きになりそうです。ただ、まだまだ懸念材料も多く、一気に上値の節目を抜けるにはもう少し時間がかかると思います。

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