欧州格下げ懸念もEU首脳会議に対する期待で相殺されまちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年12月07日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8575.16▼120.82

<TOPIX>738.01▼10.60

<NYダウ>12150.13△52.30

<NASDAQ>2649.56▼6.20

<NY為替>77.72▼0.07

欧州格下げ懸念もEU首脳会議に対する期待で相殺されまちまちの展開

 欧州各国の格下げ問題や中国や豪州の景気鈍化懸念が取りざたされるなかで、好調な業績動向を示す企業も多く、底堅い堅調な展開となりました。ナスダック指数は手仕舞い売りに押される銘柄などもみられて終始弱含みとなりましたが、外部環境よりも足元の業績を見ると売りにくいという展開で、総じて見ると底堅い堅調な相場と言って良いと思います。金融緩和期待もあり、欧州問題などが一段落となると改めて売り叩くというよりは買戻しを急ぐということなのだと思います。

 足元の企業業績はドル安効果もあって好調というものが多く、投資判断の引き上げや予想を上回る業績見通しを示す企業もあり、堅調な地合いとなっています。今後も欧州金融機関が資金繰りに詰まるとか、足元も業績に限りがみられるということになれば売り直されることになるのでしょうが、当面は強含みな推移が続くと思われます。再度クリスマス商戦の動向などを気にする動きも出てくるかもしれません。

 個別には収益力が評価されて投資判断の引き上げられたGE(ゼネラル・エレクトリック)が堅調、増収増益見通しを発表したスリーエムも高くなりました。減益決算を発表したトール・ブラザーズは先行きの見通しが評価されて買われ、金先物価格は軟調となったのですが、パブリック・ゴールドなど金鉱株も堅調となりました。インテルやIBMは堅調、アップルは軟調とハイテク銘柄はまちまちとなり、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースは欧州金融不安が懸念されることや手仕舞い売りに押されて軟調となり、キャタピラーやアルコアは中国や豪州の景気鈍化懸念から売られて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高にもかかわらず、欧州各国の格下げの話題や中国や豪州の景気鈍化懸念なども取りざたされてじり安となり大幅安となりました。閑散に売りなしとはいかず閑散とした相場のなかで買い手控え気分の強い中でちょっとした手仕舞い売りに大きく押されたという感じです。特に売り急ぐ理由もないのですが、買いが少なくちょっとした売りに値を崩すのを目の当たりにすると売り急ぐような場面もあって大幅下落となりました。

 米国株はまちまちとなったものの、昨日の大幅下落の反動から今日は底堅い堅調な展開が期待されます。EFSF(欧州金融安定化基金)の格下げなどが取りざたされたものの、EU(欧州連合)首脳会議に期待する見方もあり、また、昨日の大幅下落で目先の欧州金融不安については織り込まれたものと思われ、ユーロも落ち着いていることから欧州問題も特に大きな売り材料とはならないと思います。逆に中国など新興国の景気鈍化懸念などもあり、積極的に買い上がるだけの要因にも乏しく、底堅く堅調ながらも上値が重いような展開となりそうです。業種別に云々というよりは昨日売られすぎたものが買われ、堅調となったもの、底堅かったものが売られるというような展開ではないかと思います。

 8500円〜600円水準での値固めという感じで8500円台では売り急ぐ動きもなく底堅さはみられると思います。ただ、為替動向もまだ円高懸念が残っていることから、上値の節目である8800円〜900円水準を一気に抜けるというようなこともないと思われ、引き続き8000円台後半でのもみ合いが続いているということだと思います。本日は8600円台になると買い上がり難く、8700円を意識すると上値が重く、8500円台では売り難いというような展開ではないかと思います。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.