堅調だが方向感なく小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月05日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場は手仕舞い売りに押されて冴えない展開となったのですが、失業率が改善したことなどは好感される場面もあり、日本市場も買い先行となりました。為替も円安気味ということもあり、ヘッジ売りの買戻しもあって堅調となったものと思われます。ただ、買い一巡後は相変わらず決定的な売り買いの材料にも乏しく、方向感のない展開となりました。日経平均先物もまとまった売り買いは散発的にみられるだけで上値を買い上がる動きも売り急ぐ動きもありませんでした。小型銘柄は値動きの良さだけで買われるものも多く、堅調となりました。

 注目された米国の雇用統計への反応も鈍くなりました。相変わらず米国の経済指標に反応するというよりは経済指標に反応した米国市場の動向に反応するということが多いのでしょう。欧州金融不安というようなことでも、イタリア国債の入札がどうの、というよりはイタリア国債の入札に反応した欧米の株式市場に反応しているということが多いのではないかと思います。

 為替への反応も先月などはユーロの動きに敏感に反応し、ユーロが高いと日経平均先物が買われる、ユーロが売られると日経平均も売られるということが多くみられました。ただ、ブラックフライデーから反発となった相場の中ではユーロへの反応は鈍く、米国株式市場に反応して朝方始まった後は全く動きはないということが多いような気がします。こうした状況というのは皆が同じ材料に同じように反応していると言うことだと思います。そして、実は材料に反応しているのではなく、材料に反応した目先の値動きに反応しているだけということでしょう。

 ということは目先の値動きばかりを気にする向きが今の市場参加者の大半ということであり、この状況を打破するにはやはり、市場参加者の量だけではなく質(というか種類)を増やすということが重要なのだと思います。今週末の先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を過ぎるとさらに市場参加者が限られる可能性もあり、ちょうど昨年と同じように、米国株は堅調でも日本株はほとんど動きはなくもみ合いとなるということではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


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