面白い恋人VS. 白い恋人から、コンプライアンスを考える(2/2 ページ)

» 2011年12月02日 08時00分 公開
[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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“面白く”はあるけれど

 劇場の建て替えなどで不動産賃貸業へ進出したし、お笑いコンテンツのネット配信や輸出を試み、さまざまな商品を吉本ブランドで販売することにも以前から取り組んでいる。

 ただ、それらのいずれも好調とは言いがたいのが実際のようだ。今回の1件は、新規事業がうまくいかない焦りや危機感が背景にある。その中で、大阪的な軽いノリでやってみたうちの1つが、たまたま当たってしまったので、そのまま拡販を図っていたということなのだろうが、「白い恋人」側がどう思うかという発想がなかったのが驚きである。それが、吉本の企業体質なのだろう。

 この紛争を、「そう、うるさいこと言わずに」「まあ、いいじゃないの」と笑って見ている人も多いと思う。確かに、オリンパスや大王製紙に比べれば額も微々たるものだし、パロディーの笑えるネーミングについて大真面目になって争っている絵も、それこそ“面白い”。

 しかし、「白い恋人」の製造・販売者にとっては全然笑えるものではなく、商標権侵害の可能性あり、ということに気付かなかった、あるいは無視していた吉本興業を、コンプライアンスの観点から他山の石とすべきであろうと思う。社会のさまざまな人たちの視点から見て、自社のやっていることが適切か、受け入れられるかどうかを考えることこそ、コンプライアンスなのである。(川口雅裕)

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