米国株高などを受けて大幅高だが日中の動きには乏しく方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年12月01日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅高となったことから買い先行となりました。外国人も買い越しと伝えられたこともあり、底入れ感が強まって買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。対米ドルでは円高が進んだことで上値も限られた感じですが取りあえずは欧州金融不安、米国や中国の景気鈍化懸念が薄れたということで売られすぎの修正はあったものと思います。売り飽き気分が強かったことや日経平均8000円割れ必至と思われていただけに買戻しを急ぐ動きもあったのでしょう。

 ギリシャ問題やイタリア国債の問題など次々と欧州での金融問題が取りざたされてきましたが、何度もこのコラムで述べているように、事の本質をしっかりと見極めていれば、売られ過ぎという感は強かったのではないかと思います。国債の格下げ問題でも従来ほど格付け会社の思惑に振り回されなくなっているというのもしっかりと事の本質を見極めるようになったからだと思います。国債の入札が不調となるとすぐに格下げとなる、デフォルトになるという発想も少しは緩和されてきているのでしょう。

 昨日も各国中央銀行が協調してドル資金を供給したことが好感されたとばかり報じられていますが、中国の景気鈍化懸念を打ち消すように金融緩和に舵を切ったことや米国での雇用情勢の改善、そして足元の景況感の良さ=クリスマス商戦の好調さが大幅高の要因となっているのです。懸念された欧州銀行の破綻やコスト増加懸念が薄れ、中国発の世界的な景気鈍化や米雇用問題などからの景気鈍化懸念が薄れたということなのです。

 ただ、こうしたこと自体も今に始まったことではなく、米国景気は底堅い堅調な推移となっていたし、中国でもブレーキとアクセルとをうまく踏み分けて市場の方向性を出しているのは今に始まったことでもなく、欧州の金融不安でも、銀行への不安はそれほど大きなものでもなかったことも事実です。こうした表面的な事象からその本質としっかりと見極めておくということが大切で、そうしていれば、本日のような相場でも特に慌てふためくこともないのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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