ガンダムからあの花まで――西武鉄道&アニメの地域活性化戦略(3/5 ページ)

» 2011年11月30日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

キャラクター混在は避ける

小野打 日本動画協会としても、「西武鉄道沿線に多くのアニメ会社がある=多くのアニメーターが働いている」ということから、このような活動を行っています。

 同じ西武鉄道沿線といっても、高田馬場にある手塚プロダクションの鉄腕アトムと、上井草にあるサンライズのガンダムが肩を組んだ画像を作るわけにはいきません。そこで、作品やキャラクターを1号1号変えながら、場所も変えていくということで、アニメ全体が西武鉄道沿線地域に貢献できるようなスタンスをとっています。

 西武鉄道では日本動画協会との活動以外にも、アニメに関するさまざまな取り組みをされていますよね。

野田 西武鉄道ではアニメ関連事業を3つほどに分けていて、1つ目は社会貢献事業、2つ目は練馬区や杉並区にアニメ制作会社がたくさんあるということで地域活性化事業、平たく言うと町おこしですね。そして、3つ目がBtoB事業です。

 地期活性化事業の例としては、まず練馬区の大泉学園駅が挙げられます。次画像左は『銀河鉄道999』の車掌さんですね。「区役所や商店街と一緒に、町おこしで何かできないか」という話があった中、原作者の松本零士先生が練馬区名誉区民であること、西武鉄道をとてもひいきしていただいていることから、2008年3月から車掌さんのモニュメントを展示することになったのです。

 展示の際、松本零士先生には西武鉄道の制服を着ていただいて、1日駅長になってもらいました。ちなみにこの車掌さんは今、“名誉駅長”として勤務している形になっています。たまにいなくなってしまう時があるのですが、その時は後ろのボードに「●●出張中」という紙が貼られています。

大泉学園駅での取り組み

 真ん中の画像は、大泉学園駅北口にある壁画です。現在、北口では工事をしているのですが、非常に暗いところだったので、少しでも明るくしてみなさんに楽しんでもらおうということで、松本先生から画像をいただいて展示しています。

 右側の画像は、乗車された方もいらっしゃると思いますが、2009年5月1日から運行している『銀河鉄道999』のデザイン電車です。下り方面(飯能方面)の先頭車両が車掌さん、上り方面(池袋方面)の先頭車両がメーテルの絵になっています。「地域の子どもたちの未来のために、沿線を活性化していこう」ということで、松本先生に描いていただきました。また、大泉学園駅では発車メロディにゴダイゴの『銀河鉄道999』が用いられているほか、自動販売機のデザインも車掌さんやメーテル仕様になっています。

 時を同じくして、杉並区の上井草駅南口にガンダムのモニュメントを設置しました。『機動戦士ガンダム』第1話のタイトル(「ガンダム大地に立つ!!」)をもじって、「大地から」という題名で作りました。

 また、真ん中の画像は上井草商店街のフラッグで、こちらもガンダムをかたどったものです。右の画像は駅の下りホームに飾っている歴代の商店街フラッグなのですが、上井草には早稲田大学のグラウンドもあるので、左から2番目のガンダムは早稲田大学ラグビー部の格好をしています。ちなみに上井草駅の発車メロディは『機動戦士ガンダム』のオープニング曲『翔べ! ガンダム』を使っているので、もし行く機会がありましたら、聴いていただければと思います。

上井草駅での取り組み

 そして、高田馬場に手塚プロダクションがあるという話がありましたが、新宿区役所と協力して、JRと西武鉄道のガード下に、高田馬場商店街の歴史を手塚キャラクターが紹介する壁画を設置しています。

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