円安に振れたことや月末を意識して買戻しを急ぐ動きもあって大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月29日 15時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 欧州の金融動向に振り回されていますが、クリスマス商戦が好調ということで米国株が高く、日本市場も買い先行となりました。いつものことながら寄り付きの買いが一巡となった後は方向感に乏しい展開でしたが午後になると買戻しを急ぐ動きもあってじりじりと指数も上昇、連日の大幅高となりました。外国人も売り越しと伝えられたのですが、盛り上がりに欠けるなかで、主力銘柄の買い戻しが主体となって指数を押し上げたものと思います。

 日経平均はどうやら当面は8000円割れを回避した格好です。誰もが8000円を割れるといったところがやはり目先的には底値となったということでしょう。売買高も全く盛り上がらず、まだまだ予断を許さない感じですが、一ついえるのはやはり、誰もが8000円を割れるといい出したときは割れないということでしょう。日経平均の8000円というところが重要視されているということではなく、皆が弱気になっているということは誰もが既に下がると思って売っており、それ以上に売るという状況は考え難いということなのだと思います。

 江戸時代の米相場の神様「本間宗及」の言葉の中にも人の意見と相場の環境、そして自分の見方が弱気に揃ったときは海に飛び込むつもりで買いなさいといっていますし、同様に江戸時代の米相場の心得を書いた「三猿金銭秘録」という本の中にも「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になりて買いの種まけ」という言葉もあり、極端な話、どちらかといえば周りに追随して遅れて動くよりは自分だけが売り向かう、買い向かう方に分があるということでしょう。

 まだまだ実際には売りが手控えられているなかで主力銘柄の買い戻しで指数を押し上げているだけということかもしれませんが、株価が上昇することで売りが引っ込み、買いが増えるということもあり、ここで底堅さを確認して戻りを試す動きになるという可能性もありそうです。11月に株を買え、ということもよく言われることでもあり、昨年も同じような展開となったことを考えても、新たな売り材料が出ないと売り難いという状況ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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