先週末の米国市場は短縮取引の中で手仕舞い売りに押されて軟調となったものの、クリスマス商戦が好調ということやIMF(国際通貨基金)のイタリア救済のニュースなどから予想に反して買い先行となりました。外国人売買動向も金額は売り越しながらも株数は買い越しと伝えられ、朝方はユーロが堅調となったこともあり、ヘッジ売りの買戻しなども入って大幅高となりました。その後も上値は限られたものの案外値持ちも良く、大幅高水準で指数は小動き、総じて堅調となりました。
先週末に「北斗会」があったのですが、そこでもやはり、弱気な見方が多くみられました。欧州金融不安に大して底知れぬ恐怖感があるという感じです。実際にイタリア国債だけでなく、債券市場は混乱し、銀行間取引レートも上昇という状況であれば不安も募るのですが、「そもそも論」として、「何がどう不安だから、何がどうなる」ということがあまりみえておらず、単に「国債が売られるから」とか、ギリシャがデフォルトするから、といって恐れているような気がします。
本屋でも「大恐慌」が今にも始まるような本が出回っており、いたずらに恐怖感を煽るような雰囲気になっています。さすがにここへ来て、日本株の割安論もみられるようになってきましたが、しっかりと本質を見極めなければ周りの雰囲気に流されてあたふたとするだけになってしまいそうです。為替がどうなるのか、金利がどうなるのか、そしてその影響として株式市場や企業業績はどうなるのか、細かい数字はとにかく、方向性を常に見ておくという必要があると思います。
本日の相場でも「イタリア救済」が好感されて買われているという見方も出ていますが、その割にはユーロがあまり買われず、ユーロが売られる場面でも株価がしっかりとしているのは単に買戻しが入っているということなのだと思います。まだまだ弱気になる人が多いのでしょうが、弱気が多いときに底値をつけると、強気ばかりになると天井をつけるということをしっかりと頭に入れておいた方がいいのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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