コラム
» 2011年11月25日 11時35分 UPDATE

FACTAより早く、オリンパス株を空売りしていたゴールドマンサックス (1/3)

7月にオリンパスのM&Aに関する疑惑をいち早く報じたとされる月刊FACTA。しかし、ゴールドマンサックスはFACTAの記事が出る前から、オリンパス株を空売りしていたのである。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週、筆者が気になった記事があった。それは「オリンパス株で約20億円の利益……ゴールドマンのすごすぎる手口」。マイケル・ウッドフォード氏が社長を解任される前から空売りをかけ、11月初旬に買い戻して20億円ほどの利益を得たという内容である。

 金融業界でその名をとどろかせるゴールドマンサックス。後学のためにその手口を詳しく分析しようと、東証が公開している空売り残高状況(参照リンク)をチェックしたところ興味深いことが分かった。ゴールドマンサックスは、かなり早い段階からオリンパス株を空売りしているのである。

 データによると、ゴールドマンサックス(正確にはGOLDMAN SACHS INTERNATIONAL)が最初に空売りを仕掛けたのは7月13日のこと。空売り株数は85万7900株と、約22億円規模となる。7月13日のオリンパス株の出来高は320万8300株なので、出来高の4分の1をゴールドマンサックスが占めていたことになる。なかなか思い切った勝負である※。

※ただし、空売り残高の報告義務があるのは発行済み株式総数の0.25%以上になった時なので、7月13日までに0.25%未満の空売り(オリンパスの場合、67万8209株未満)を保有していて、7月13日の取引で初めて超えたという可能性もある。

 しかし、オリンパスの疑惑を最初に報じた「オリンパス 『無謀M&A』巨額損失の怪」を掲載したFACTA8月号の発行日は7月20日(オンライン版は7月18日)である。その前に発行人の阿部重夫氏がブログで「FACTAleaks――オリンパスへの公開質問状と宣戦布告」と予告しているのだが、それは7月15日のこと。ゴールドマンサックスが空売りを仕掛けた後である。

 さらに注目なのは、ゴールドマンサックスが7月末にすぐ空売りを買い戻していること。あたかも記事が出ることを事前に察知していて、記事の反響がないと見るや撤退を決めたかのようである。著者の山口義正氏がニコニコ生放送で語ったところによると、いろんな編集部に持ち込んだ企画で、疑惑自体は少なからずの人が気付いていたということなのだが(阿部氏が6月24日に質問状を送っているのでオリンパス側も把握している)……FACTAさん、もしかして情報漏れていませんか。あるいは……偶然にしてはタイミングが良すぎると思うのは、筆者の考えすぎだろうか。

 ちなみに、ゴールドマンサックスが空売りを仕掛けた時のオリンパスの株価は2600円台、7月末に買い戻した時の株価は2700円台。8月からの欧州危機が影響した市場環境の悪化で、オリンパス株も2100〜2200円台に下げているので、ゴールドマンサックスとしては最悪のタイミングの取引となっている。担当者が涙目になったことは想像に難くない。

オリンパス株空売り残高状況(7月12日〜8月1日)

ゴールドマンサックス(空売り株数) 終値(円) 出来事
7月12日 2660
7月13日 857900 2623
7月14日 845700 2629
7月15日 817000 2633 FACTAブログで阿部重夫氏が宣戦布告
7月18日 休日 休日 FACTA8月号 オンライン掲載
7月19日 1085100 2635
7月20日 1207500 2685 FACTA8月号 発行日
7月21日 1222400 2692
7月22日 1222200 2760
7月25日 1215100 2711
7月26日 1211000 2744
7月27日 1218600 2721
7月28日 834000 2718
7月29日 425500 2745
8月1日 2753
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