会社にぶら下ってはいけない……は信じていいのか吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2011年11月25日 09時12分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 先日、インターネットを使って検索していたところ、「やはり……」と思うことがあった。私が数年前に取材をした40代後半のコンサルタントが、勤務していたコンサルティング会社を辞めて独立をしていた。1年ほど前からフリーとして仕事をしているようだった。会社員の参考になると思うので、今回は彼の生き方を紹介しよう。

上司の顔色

 その後、彼が退職したコンサルティング会社のかつての上司に聞いた。彼は仕事の仕方をめぐり、上司や周囲と口論が絶えない時期が続き、退職をしたという。表向きは円満退職であるが、実際は追い出しを受けた状態だった。これは、この会社で働く他のコンサルタントからも聞いた。

 数年前、彼を取材したとき、印象に残った言葉はこのようなものだった。

 「今は、実力主義の時代だ」「上司や会社からの評価は関係ない」「上司の顔色はうかがうな」「20〜30代の会社員は会社にぶら下がるな……」。これはこれで1つの考え方であるのだろうが、私は本当なのだろうかと思った。

 まず「今は、実力主義の時代だ」という認識だが、では「以前は実力主義の時代ではなかった」と言えるのだろうか。

 私の認識では、日本の企業は大企業であれ、中小企業であれ、戦前も戦後も一貫して激しい競争が社内外で行われている。競争があるからこそ、そこには淘汰があり、倒産もリストラも労使紛争もある。リストラはその都度、「雇用調整」とか「減量経営」と名前を変えて機会あるごとに行われてきた。決してバブル経済が崩壊した1990年代に急きょ、始まったのではない。

 さらに会社という組織で生きていくうえで、「上司や会社からの評価は関係ない」と言い切れるのだろうか。大多数の会社では、社員の評価は上司が決めて、それを役員らが、つまりは会社が追認する流れになっている。

 この事実を踏まえると、会社員は上司の顔色をうかがう必要がある、と私は思う。ゴマをするという意味でない。評価者である上司が納得をする仕事を、満足してもらえるレベルに高めて、さらに時間内に終えることを意味する。この繰り返しで、上司からの信用を徐々に得ていくのだ。

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