欧州金融不安が強まり、米国景気への影響も取りざたされて大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月18日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8463.16△16.47

<TOPIX>727.71△3.60

<NYダウ>11770.73▼134.86

<NASDAQ>2587.99▼51.62

<NY為替>76.98▼0.04

今度はスペイン国債入札の不調から欧州金融不安が強まり、米国景気への影響も取りざたされて大幅下落

 欧州金融不安は一段落となった感はあったのですが、今度はスペイン国債の入札が不調ということでまたぞろ金融不安が強まり、米国景気への影響が懸念されたこと、また、米国内でも民主党と共和党による赤字削減交渉が行き詰ったとの観測などもあって下げ幅拡大、大幅安となりました。欧州債務危機が米国にリセッション(景気後退)を引き起こす可能性があると大手自動車会社CEO(経営最高責任者)が発言したということも手仕舞い売りを急がせる要因となったものと思います。

 欧州金融不安だけでなくまたぞろ米国景気への警戒も取りざたされており、新規失業保険申請件数は前週よりも減少、予想も下回り雇用の改善はみられたのですが、フィラデルフィア連銀景気指数は予想を大きく下回るというようにいわゆる「景況感」は芳しくなく、実際の景気は悪くないということなのだと思います。QE3(量的緩和)に対しての催促という面もあり、大幅下落とはなったものの特に取り立てて経済そのものが悪くなったということでもないと思います。

 個別には赤字幅が拡大したと発表したシアーズ・ホールディングスが大幅下落、決算発表を控えたギャップも軟調となりましたが、ウォルマートは堅調となりました。慎重な収益見通しが発表されたアプライド・マテリアルズも大幅下落となり、インテルやアップルなどハイテク銘柄は総じて軟調となりました。アルコアが大幅安、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)も軟調となるなど景気敏感株は総じて安く、フォード・モーターも大幅安となりました。欧州での金融不安が強まったことでシティグループやJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスが大幅安、バンク・オブ・アメリカも軟調となり金融株は総じて軟調となりました。原油先物価格が上げ一服となってエクソン・モービルなど石油株が手仕舞い売りに押され、金先物価格が大幅下落となったことでパブリック・ゴールドが大幅安となるなど金鉱株も売られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅下落、為替も円高となったのですが、前日の下落で米国株安を織り込んでいたものということで、売り先行となったあとも底堅く、底堅さを確認してユーロが戻り歩調となると買い戻しも入って堅調となりました。上値を積極的に買い上がるような動きもないのですが、円高を嫌気して売られた銘柄やタイの洪水被害の影響が懸念されて売られたような銘柄が買い戻しで堅調となりました。

 米国株が大幅安となったことや為替も円高気味ということで日本市場も売り先行となりそうです。昨日は米国株が大幅安となるなかで織り込み済みとして買戻しも入りましたが、週末の手仕舞い売りに加え、再度売り直すような動きもみられるものと思われます。為替や欧州景気動向、米国景気動向に影響の大きな銘柄は買い手控え気分もさらに強まり、手仕舞い売り、見切り売りに押されることになりそうです。幕間つなぎ的に為替の影響の少ない、値動きの良い内需株やディフェンシブ銘柄が個別に物色されることになりそうです。

 日経平均は本日もしっかりと反発となれば再度8500円〜600円水準での下値かためとなると思ったのですが、逆に8500円〜600円水準での上値の重さを確認するような展開になりそうです。8200円〜300円水準の下値を試すことになるのか、8400円台で下げ渋り、8500円〜600円水準の下値の節目からの「誤差の範囲」として受け止められるか、正念場というところではないかと思います。

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