Facebookから考える“コミュニケーション能力”の意味(2/3 ページ)

» 2011年11月18日 08時00分 公開
[寺西隆行,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

Facebookから考える“コミュニケーション能力”の意味

 今年はFacebookが流行りですし、「就活にもFacebook!」といったニュースがかなり取り上げられています。そこで先日、Facebookを通じて起きた出来事を紹介しながら、コミュニケーションについて考える題材を提供することにします。

 つい先日、日経ビジネスオンラインで連載を持つ橘川幸夫さんとFacebookで友達になりました。僕にとっては超が何個も付くくらいうれしいことでした。

 彼とは一度お会いしたことがありました。……といっても、彼が所長を務めるデジタルメディア研究所の勉強会で名刺交換に押しかけ、名刺交換しがてら少し話した程度です。

 「それまで会いたかった人に会えました。名刺交換をしました。ではそれで、相手は“友達”と思ってくれるでしょうか?」

 答えは明らかですよね。しかし、実際にはこれくらいのレベルでFacebookで友達申請してしまっているケースが多く見られます。

 Facebookは友達かそうでないかによって、相手に開示する情報が異なります。「友達のみに、自分のメールアドレスなどを公開する」といった設定をして、自分の(いろいろ変わる)個人情報の告知代わりに使っている人もたくさんいます。そういうことまで想定して、友達申請すべきなんです。ましてや、友達承認されなかった時に「何だーあの人、冷たいなー」なんて感じる人は論外です(実際には「コミュニケーション能力がない」人に多く見られる感想ですが)。

 僕は橘川さんのFacebook登録を発見した時に、まず「フィード購読」させていただき、彼の発する言葉をチェックしながら、「同感!」と思えることについては「いいね!」を押したり、コメントしたりすることから、「相手を知り、そして相手にも僕のことを分かってもらえる」ようにし始めました。数回コメントするうちに、「あーどこかで会ったことのある寺西だな」程度には分かってもらえたようです。

 この「相手に友達(仲間)と思ってもらえるような努力」をしないで、一方的に“自分のことを知ってくれ!”光線を相手に投げる人もまた、コミュニケーション能力がない人です。

 「相手=企業」と置き換えると、就活においては分かりやすいと思います。企業は、その人が「●●コンクールで優勝しました!」とか「●●の代表をやっていました!」を知りたいわけではないんです。その活動が「企業の仲間として一緒に働くことに価値があるか」を見たいわけで。

 そのためには、「企業の心を動かすにはどうしたらいいか」という、相手の立場に立った心の動きが必要ですよね。派手な自己アピールも必要な場合がありますが、その行為自体が重要なわけではないんです。地味であっても、相手の認知と興味関心の醸成ができればいいわけで。僕が橘川さんに「そうですよね!」などのコメントをしたように。

 ある時、とても腑に落ちることを書かれていましたので、「同感」という感想とともに、少し長めのコメントをさせていただきました。すると、そのコメントを見た人(=橘川さんの発言をよくチェックしている人)が僕に共感したらしく、いきなり僕に友達申請。しかし、肩書は「東京大学●●学部」とありますが、僕へのメッセージがありません。こういう人も多いんです(冗談抜きに……)。

  • 「自分が共感している」という気持ちだけで「相手に分かってもらえている」と思っている
  • 自分の肩書があれば怪しい人じゃないと思ってもらえる

 ……という人。「Facebookの技術的な使い方が分からないからそうなったんじゃないの?」という問題ではなく、こういう人はホンキでこう思っているようで……(苦笑)。あなたの脳内や心の動きは、相手にとって無価値です。肩書はもっと無価値です。

 脳内や心の動きを「相手に分かってもらえるように、相手の共感を生むような形で表現し」、そして場合によってはそれに「肩書」が加わることで初めて、「あ、仲間になれそうな人だな」と思えるわけです。

 ちょっと脱線しましたが、そのコメントに橘川さんが共感してくださったようで、なんと! 橘川さんの方から僕に友達申請が。うれしくてすぐ承認しました(笑)。きっと橘川さんからすると、「きっと寺西は僕と友達になりたがっていると思う」って温度が分かったんだと思います。彼も、コミュニケーションをとても大切にする方ですから。

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