職場または在宅――コミュニケーションはどうあるべきか吉田典史の時事日想(3/4 ページ)

» 2011年11月18日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

 川口さんは、職場でのコミュニケーションを考える1つのポイントは「シナジー(相乗効果)」だと語る。

 「その場合のシナジーとは、2人で仕事をする時にはその成果が3人分、あわよくば5~6人分にもなることを意味する。これがチームを作るうえで欠かせない発想。前述のプログラマーにはこの力がないのだと思う。人事部としては、与えられたことをこなすだけでは不十分と見ているのだろう」

 私はこんな問いをした。「チームを動かすことはできなくとも、職務を遂行する力を上げていくことで生き残ることも1つの生き方ではないか」

 川口さんは、こう答える。

 「それも1つの生き方だが、年齢を積み重ねて社内でプログラマーをするだけで生き残っていくことは難しいのではないだろうか。会社を辞めて独立をするとしても、プログラマーとして長きにわたり、仕事をして生活をしていくのは難しい。さらに、企業がその仕事を今後、海外の企業に移すことがありうる。グローバル化が進むと、単純な仕事はよりコストが安い方向にシフトする可能性が一段と高まる」

「プロフェッショナリティーの追及」は、実はリストラへの道

 私は、この分析は重要だと思う。ホワイトカラーは2極化しつつあるのだ。高い実績を出す人と、そうでない人に分けられていく。前者は、その数は絞られる。後者は、主に単純労働をしていく。これがアウトソーシングされたり、契約社員やパート、派遣社員などに託されることになる。

 よほどの能力がない限り、前者として生きていくことはできない。これを踏まえると、「プロフェッショナリティーの追及」として知識や技術を身に付ければ何とかなる、と考えるのは安易すぎる。例えば、プログラマーとして相当な技術を身につけたとしても長きにわたり、仕事をしていくのは難しい時代になっている。

 ましてや、川口さんが指摘するように、グローバル化の中で仕事そのものが海外の取引先などに依頼されて、そのままなくなってしまうことが一層増える。その意味で、特定分野の高度な知識や技術を持つことは、キャリアリスクを拡大している。

 「プロフェッショナリティーの追及」は、実はリストラへの道かもしれないのだ。

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