職場または在宅――コミュニケーションはどうあるべきか吉田典史の時事日想(2/4 ページ)

» 2011年11月18日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
職場ではどのようなコミュニケーションをとるべきか

 そこで人事コンサルタントの川口雅裕さん(株式会社イニシアチブ・パートナーズ 代表)に取材を試みた。川口さんによると、ここ数年、中堅企業から在宅勤務などの相談を受けることが増えているという。

 「在宅勤務にはいくつかのパターンがあるが、今は自己完結型の作業が目立つ。それを時間内で一定のレベルで仕上げることが求められる。この場合は、上司からすると報告・連絡・相談がきちんとできれば大きな問題は起きない。それ以上のコミュニケーションはさほど求められていない」

 私も同感だ。在宅勤務は、1990年代後半の金融不況の頃にも進められた。例えば、当時、急速に浸透したIT企業で働くプログラマーや、中小企業の給与計算などを請け負う経理・財務系の会社に目立った。

 その頃、在宅勤務の社員が取り組む仕事は、プロジェクトの特定部分を締め切りまでに遂行するものが多かった。プロジェクトの企画や内容について意見を言ったり、議論に参加する機会はほとんどない。それから十数年が経つが、その傾向は大きくは変わっていない。

職場でのコミュニケーションがうまくないサンプル

 在宅勤務とは違って、職場でのコミュニケーションは黙々と仕事をこなすだけでは不十分なのである。川口さんは、クライアント先であるシステム会社の人事担当者から相談を受けたことを紹介してくれた。これは、職場でのコミュニケーションが上手でないサンプルだという。

 「その会社には、プログラマーとして単純な仕事をうまくこなす社員は多い。ところが、上司や周囲、クライアントと意思疎通がうまく図れない。だから、いつまでもプログラミングをしている。しかし、人事担当者は、30歳を越えるころにはSEとしてクライアントとの関係づくりや交渉ができ、チームを引っ張るようになってもらわないと困る、と不満を述べていた」

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