職場または在宅――コミュニケーションはどうあるべきか吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2011年11月18日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 最近、在宅勤務に取り組む中堅・大企業が報じられることが増えてきた。背景には、多様なライフスタイルを認めていくことで、仕事の生産性を向上させたり、社員の定着率を上げようとする思惑があると思われる。

 今回は、在宅勤務で求められるコミュニケーションについて考えることで、それとは対極にある職場でのコミュニケーションの本質に迫りたい。職場でのコミュニケーションを理解すると、今後の会社員の生きる姿が見えてくるはずだ。

職場と在宅でのコミュニケーションは違う

 日経情報ストラテジー(10月27日)によると、全日本空輸は2011年9月から在宅勤務制度を導入した。2011年度内に50人の利用を目標にし、現在、利用者と利用予定者は43人。在宅勤務日は週1回とし、集中して業務に当たる日を設けることで生産性の向上を図るという。

 この記事で、私が注意をしたのは次の記述である。

 「在宅勤務の対象者は、運行管理や人材配置などの計画策定、マニュアル作成など仕事の成果が分かりやすく、かつ1人で集中して仕事に取り組む時間が必要とされる業務に携わる社員とする」

 つまり、上司から見えないところ(=自宅)で仕事をしても、その成果を判断することができること。そして1人で取り組むことができる仕事であることを前提としているのだろう。

 全日本空輸のこの認識は正しいと思う。在宅勤務とは何ぞや、ということをよく理解しているからこそ、こういう仕事をさせるように考えたのだろう。

 だが、私が人事の雑誌でいくつかの中堅企業を取材すると、時折、在宅勤務の人に職場での仕事を同じスタイルでさせている場合がある。これは、間違いだと思う。そもそも、職場でのコミュ二ケーションと在宅で仕事をする際のコミュニケーションは異なる。そこへの着眼がないのだ。

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