米国株高にもかかわらず、ユーロ安を嫌気して売られ軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月16日 16時05分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調となったのですが、為替が円高気味、特にユーロが軟調となったことが嫌気されて上値の重い展開となりました。外国人売買動向も売り越しと伝えられたこともあり、上値を重さを確認し、ユーロがさらに軟調となる場面では売り急ぐ展開もみられ、節目とみられる日経平均の8500円水準を割り込み、TOPIXも年初来安値を更新すると言う場面もみられました。さすがにユーロ安が一段落となると下げ渋り、下値をむきになって売り叩く動きもなかったのですが、終始「冴えない」展開が続きました。

 昼の時間帯に昨日はまとまった円売りで「介入か!」と色めきたったのですが、本日は逆にユーロが売り直されて先物へのまとまった売りも出て下値を試す動きもありました。材料が出てユーロが安くなったということでもなく、ユーロが安くなったのでその材料を探してみた、という感じでした。フランス国債の格下げが蒸し返されたり、欧州金融機関の追加損失懸念ではないかとか、NY連銀がプライマリーディーラーにMBS取引の担保引き上げを通知したことから信用収縮の動きになったなどといろいろな話題が出てきました。

 どれもこれも正解であり、不正解なのだと思います。ここで、「中国市場が安いから」などという話が出なかっただけでもましかもしれませんが、何度もこのコラムで述べているように、いろいろなニュースにいろいろな反応をする人達がいるから相場が成り立っているのであり、何がどうしたからこうなったと一言でいえるというケースは少ないと思います。特に決定的な売り買いの材料で相場が急騰、急落したのであれば別ですが、ちょっとした動きであるならば現在のような膠着感の強い、手掛かり難のなかでは指数を大きく動かすこともあるかもしれません。

 結局、目先的にはいろいろなニュースに振らされても本質的な相場の方向というのは大きな経済の流れ、資金の流れで決まってくるのだと思います。そうした大きな流れが見えてない現状では目先のニュースに右往左往しながらも落ち着いて先の方向性を考えるという態度が正解なのだと思います。目先の値動きに徹底的についていくならついて行くということでいいと思いますし、徹底的に目先の動きは無視するということであればそれはそれで良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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