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» 2011年11月16日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:「Made in Japan」が売れる!? アパレル企業の挑戦 (1/2)

広告費1000万円で60万人の海外ファンを集めたベンチャーアパレルブランドがある。老舗靴下屋はあえて日本円で金額を表示して中国に挑む。2社の共通点は「Made in Japan」にこだわっていることだ。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年11月11日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 ファストファッションの店舗に行く時、筆者は密かな楽しみ方をしている。商品のタグに書いてある生産国を確認するのだ。ZARA、H&M、フォーエバー21、トップショップなどの海外勢の商品を見ると面白い。バングラデシュ、ベトナムなどの東南アジア。ギリシャ、ポーランドなどの欧州。実に多彩だ。比べてみると、ユニクロはまだまだ中国製がほとんどであることにも気付く。

 消費者が信頼しているのはブランドや企業であって、その品がどの国で生産されていようと、たいていの人は気にしないだろう(テレビの亀山モデルなどもちろん例外はあるが)。「American components, Russian components, all made in Taiwan!!」と、映画『アルマゲドン』のロシア人宇宙飛行士も叫んでいた。米国の最先端の宇宙船のことなんてロシア人のお前には分からないだろうと言われ、ぶちぎれたのであった。

 しかし、ここ数年、何だか変わった風も吹き始めている。「Made in Japan」。すなわち、日本国内で生産されていることが、どうも付加価値になっているらしい。しかも、基本的にどこで作っても変わらないだろうと思われるアパレル業界でである。

 11月4日付の日経MJに、日本国内生産にこだわっているベンチャー企業が紹介されている。エスワンオー(東京・目黒)。ブランド名は「サティスファクション・ギャランティード(sg)」。主な購入客は日本人ではない。「Facebookの登録ファン数は64万人に達し、国内企業で2位」「ファンの97%がインドネシアやインドなどアジアの若者」だという。国内の実店舗は「東京・渋谷と代官山の2店舗しかない」という堂々たるネット企業である。

 それもそのはず。エスワンオー、実は2006年にネット広告の代理店として創業した。社長はネット広告会社に属していたこともある。そういう背景もあってか、同社は、流行りのSNS(フェイスブック)を使って、極めてローコスト、ローリスクで、グローバルに認知を広げた例としてメディアで紹介されることが多い(その過程に関心のある人は、ググッてみてほしい)。

 同社の戦略は、マイケルポーターの「戦略の3類型」で考えれば、明確な「差別化集中戦略」、限定的な市場で差別化を武器にする戦い方だ。まず、日本という市場は、「少子化に加え、低価格なファストファッションの台頭など市場縮小が続く」ため、バッサリと捨てたのだ。

 また、アジアなど新興国を狙う場合、「BOP(Bottom Of Pyramid)」がキーワードになっているが、そんなトレンドには目もくれない。「新興国では富裕層が年々増えておりそのうちのわずかの人が買っても、収益は大きい」とターゲティングは明確だ。

 差別化集中戦略の武器は「日本製であること」。広告にもFacebookの公式ファンページにも「made in Japan.100%」の文字が踊る。

 しかし、単に日本製であることにあぐらをかいているわけではない。ダイヤモンドとスカルを組み合わせた「スカル×ボーン」のロゴは社長がデザインを手がけた。なかなかクールなデザインだ。情緒的な価値だけではない。「シャツには速乾性の機能素材を使い、日本の縫製工場で製造するなど日本製にこだわった」という。暑いアジアの国でこそ、速乾性の機能素材は生きる。機能的価値もクールである。

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