先週末の大幅高の反動やドイツのユーロ離脱懸念から軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月15日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8603.70△89.23

<TOPIX>735.85△6.72

<NYダウ>12078.98▼74.70

<NASDAQ>2657.22▼21.53

<NY為替>77.07▼0.10

先週末の大幅高の反動やドイツのユーロ離脱懸念から軟調

 イタリア国債の入札が注目されていましたが順調に消化、利回りは高いものの懸念されるほどではなかったのですが、ドイツ議会で自発的なユーロ離脱を認める動議案が可決されたことで、ユーロ分裂懸念が強まり、「欧州不安」とユーロ安が嫌気されました。また、先週末に大幅高となっていたことで手仕舞い売りも多く軟調となりました。ただ、ギリシャやイタリア問題などが一段落、金融不安が薄れたことで売り急ぐ動きもなく、足元の好調な景況感やドル安メリットもあって総じて底堅い展開となりました。

 注目されたイタリア国債の入札も順調ということでギリシャについでイタリアも「何とかなりそう」という雰囲気になりはしたのですが、今度はドイツのユーロ離脱なども懸念されました。実際には可能性は低いと思われますが、懸念するには十分な材料ということで嫌気する売りでユーロが安く、欧州での金融不安は終わっていないとの印象も出たものと思います。これからはクリスマス商戦をにらんでの動きとなりそうですが、あまり期待されていないだけにQE3(量的緩和)を催促するような芳しくない経済指標に敏感に反応するような冴えない動きがみられるかもしれません。

 個別には朝方発表した四半期決算が赤字となったJCペニーが軟調、保有する中国建設銀行株の一部を売却すると報じられたバンク・オブ・アメリカは手仕舞い売りに押されて軟調、ユーロの混乱を嫌気し、手仕舞い売りもあってシティグループが大幅下落、JPモルガン・チェースも軟調となるなど金融株が総じて軟調、著名投資家が大量に保有したと報じられたIBMも手仕舞い売りに押されて軟調となりました。インテルなどのハイテク銘柄も軟調なものが多く、アルコアやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株は軟調となったのですが、大手証券会社の買い推奨リスト入りとなったキャタピラーは堅調、大型受注が報じられたボーイングも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて買い先行、大幅高となったものの寄付きの買いが一巡となった後は上値も重く、手掛かり難のなか小動きとなりました。後場に入ると指数が上げ幅縮小となる場面もあったのですが、目先の需給要因もあって値持ちも良く、閑散に売りなしとばかりに大幅高となりました。ただ、米国株に追随するばかりで、相場全体の手掛かりや方向感に乏しく、盛り上がりに欠ける展開となりました。

 米国市場は先週末の大幅高の反動もあって軟調となり、為替も円高となったことから日本市場も軟調となりそうです。シカゴ市場(CME)の日経平均先物は底堅いのですが、円高が進むようであれば、戻りかけた輸出株を中心に売り先行となると思われます。円高が止まるようであれば底堅さもみられるのでしょうが円高懸念が根強く冴えない展開が続きそうです。引き続き手掛かり難のなかで幕間つなぎ的に円高の影響の少ない小型銘柄などが値動きの良さを頼りに物色され、タイの洪水の影響などから売られすぎた銘柄の買い戻しや見直し買いは見られるのでしょうが、相場全体には冴えない動きとなりそうです。

 依然として日経平均は8500円〜600円水準を下値、8800円〜900円水準を上値という範囲から脱しきれないと思われます。米国株が軟調となったときや円高が進むと下値の節目8500円〜600円水準での底堅さを試す動きになり、円高一服円安に振れたり、米国株が高くなると8800円〜900円水準の上値を試す動きとなるのでしょう。何度も述べていますが、円高がこれ以上進まないという確信が持てるような展開になれば上値の節目を抜けてくるのだと思います。

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