イタリア国債の入札が好調金利も低下し、雇用情勢の改善も見られ反発清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月11日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8500.80▼254.64

<TOPIX>730.30▼19.10

<NYダウ>11893.86△112.92

<NASDAQ>2625.15△3.50

<NY為替>77.63▼0.18

イタリア国債の入札が好調金利も低下し、雇用情勢の改善も見られ反発

 欧州市場でイタリア国債の入札が好調、利回りも低下したことや朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回り、雇用の改善が期待されたことに加え、昨日の大幅下落の反動もあって買い先行となりました。前日の引け後に発表されたハイテク銘柄の決算が好調と伝えられたことも買戻しを急がせる要因となりました。ただ、欧州の金融不安が完全に払拭されたと言うことでもなく、また、金融規制強化懸念などもあることから金融株の戻りも鈍いなど、前日の大幅下落の割には反発が小さくなりました。

 欧州金融不安はある程度杞憂に終わったのではないかとの見方も出ているようです。貿易収支を見てもドル安効果が大きく、景気底割れ感は薄れているのでしょうが、金融機関に対する不安は拭い切れず、QE3(量的緩和)を催促するかのように株式市場は冴えない動きとなっています。ただ、過度な信用収縮の流れは起こっておらず、今の段階では金融不安はないものと思います。今後はクリスマス商戦を期待することになるのでしょうが、その前に昨年と同じようなQE3を期待して冴えない展開が続くのかもしれません。

 個別には前日の引け後に好調な決算と業績見通しを発表したシスコシステムズが投資判断の引き上げもあって大幅高、コールズ(百貨店)も好調な決算とクリスマス商戦に対する強気な見通しを発表して堅調となりました。金融規制強化懸念や欧州金融不安も根強く、JPモルガン・チェースは反発となったのですが、バンク・オブ・アメリカやゴルードマン・サックスは軟調となるなど金融株は総じて軟調、前日の大幅下落の反動もあってインテルやIBMは堅調となりましたが、タイの洪水の影響で売り上げが減少すると伝えられたアップルは軟調となりました。金先物価格は下落となり、パブリック・ゴールドなど金鉱株は軟調、原油先物価格は上昇となってエクソン・モービルなど石油株は高くなりました。売られ過ぎの反動からキャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株が高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などを受けて売りが先行、下げ渋りとなる場面もあったのですが、為替も円高気味であり欧州金融不安や中国の景気鈍化懸念、米国での金融規制の問題、日本では円高の影響もあって決算動向も芳しくなく、買い材料に乏しく見切売りに押され大幅安となりました。外国人もオリンパス(7733)問題などから買い手控えるのではないかとの懸念もあり、買い難いということで安値引けとなりました。

 本日の日本市場は米国株が堅調となったことや昨日の大幅下落の反動から堅調な展開が期待されます。先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出ですがこれは特に問題はないと思われます。ただ、オリンパス(7733)問題の広がりや外国人が敬遠されるようなことが懸念されることや為替も比較的落ち着いてはいるものの依然として円高気味であり、週末の手仕舞い売りも懸念され上値も重いと思われます。為替次第ということで、相変わらず方向感に乏しい展開なのでしょうが、好調な決算を発表しながら地合いの悪さに押されたような銘柄の反発は期待できそうです。

 日経平均は昨日の引け値がかろうじて8500円台を保ちましたが、8500円〜600円水準での底堅さを確認することになりそうです。欧州金融不安が「懸念」だけではなく実際に信用収縮の動きが出ているということでも世界的な景気鈍化がみられるということでもないので、この水準では底堅さもみられると思います。8500円〜600円水準が下値、8800円〜900円水準が上値という範囲での動きが続いているということだと思います。

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