イタリア問題の進展期待が高まり、金融不安も一段落で堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月09日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8767.09▼111.58

<TOPIX>738.03▼12.42

<NYダウ>12170.18△101.79

<NASDAQ>2727.49△32.34

<NY為替>77.73▼0.28

イタリア問題の進展期待が高まり、金融不安も一段落で堅調な展開

 イタリアの首相が辞任するとの報道で同国の財政建て直しが進むとの見方が強まり、一連の欧州金融不安も一段落となるのではないかとの見方や米国でのQE3(量的緩和)期待も根強くダウ平均は堅調、ナスダック指数は大幅高となりました。欧州企業の好決算や商品相場が堅調となったことも米国でも景気敏感株や資源株の上昇につながり堅調な展開となりました。

 主要な決算発表や経済指標の発表、イベントなどもないのですが、改めてドル安メリットなどを受けての好調な企業業績を見直す動きも出ているものと思います。一方で景気動向に対する不安は薄れたもののQE3(量的緩和)に対する期待も根強く、金融緩和の継続の中で欧州金融不安が薄れ、信用収縮懸念が薄れたことも買い急がせる要因となったものと思います。今後もクリスマス商戦などを気にする動き、中国など新興国の景気動向を気にする動きもあるのでしょうが、基調は強含みと思います。

 個別には好調な売り上げを発表したマクドナルドは利益確定売りに押されて軟調、欧州金融不安が薄れたことでバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなども堅調となりました。原油先物価格が高くエクソン・モービルやシェブロンは堅調、金先物価格も高かったのですがニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドは手仕舞い売りに押されました。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株も高く、フォード・フォードモーターは欧州自動車会社の販売が好調と伝えられたこともあり大幅高となりました。インテルやアップル、IBMも景気鈍化懸念も薄れて堅調、ウォルマートやコカ・コーラなど消費関連銘柄も高く、ほぼ全面高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高にも関わらず、欧州金融不安が燻っていることや円高気味と言うことで売り先行となり、オリンパス(7733)の損失隠しの話が伝わり、外国人売りを警戒する売りが嵩んで大幅安となりました。直接問題となっていない銘柄も思惑で大きく売られるものがみられるなど疑心暗鬼の混乱もみられ、売り急ぐ場面もあって指数は大きな下げとなりました。ユーロが軟調となり、欧州金融不安も根強いことから売られた面もありそうです。

 米国株高や昨日の大幅下落の反動から買い先行となりそうですが、円高ということもあり上値も限定的となりそうです。昨日の下げ幅を取り返すというよりは反発となる場面では手仕舞い売りや見切売りも出てくるという状況ではないかと思います。ここまでの決算動向などを見てもやはり円高の影響で業績が下振れている銘柄も多く、円高が止まるという確証がないと割安銘柄の買い直しや売られ過ぎの修正以上に買い上がるということもないと思われます。オリンパス(7733)問題も日本市場全体の不信感につながる可能性もあり、主力銘柄を中心に買い難い状況は続くものと思われます。中国の経済指標の発表に振らされる場面もありそうですが、為替の影響の少ない材料含みの銘柄が幕間つなぎ的に物色されるものと思います。

 日経平均は引き続き方向感に乏しい展開となりそうです。芳しくない決算や現状の円高水準が続くという状況でも8500円〜600円水準が下値目処となるのでしょうが、円高やタイの洪水の影響に加え、オリンパス問題も指数の上値を押さえる要因となりそうで、ますます上値の節目とみられる8800円〜900円水準を抜けるには一段の円安や早期のタイの洪水からの復旧、そして何よりも更なる金融緩和という状況が必要になってくるのではないかと思います。

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