G20への失望感やギリシャ政局の混迷などを嫌気して軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月07日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8801.40△160.98

<TOPIX>752.02△13.44

<NYダウ>11983.24▼61.23

<NASDAQ>2686.15▼11.82

<NY為替>78.22△0.17

G20への失望感や雇用者増加が予想を下回ったこと、ギリシャ政局の混迷を嫌気して軟調

 先週末の米国市場は朝方発表された雇用統計で非農業従事者雇用者数は増加したものの予想を下回り、失業率は低下、G20で欧州に資金提供する国際通貨基金(IMF)の基盤拡充の具体策がまとまらないなど失望感も強まり、ギリシャの政局混迷やイタリアのIMFの監視下での財政再建なども世界的な金融不安を煽るような格好となり、一時大幅安となるなど軟調となりました。QE3(量的緩和)期待も根強く大きく売り込まれる場面では週末の買戻しも入り底堅さはみられるのですが金融不安が払拭しきれず、積極的に買い上がる動きは少ない状況でした。

 QE3期待も根強く底堅さもみられる一方で、企業業績は比較的好調であり、底堅さはみられます。ただ、ドル安メリットだけでは限界があるということもわかっており、欧州金融機関への不安が信用収縮懸念となっているようです。景気鈍化懸念も薄れてはいるのですが、先行きに対する不安もまだまだ残り、景気がこれ以上急激に悪くなることはないものの、急激に良くなることもない、というような漠然とした不安が強いようです。ただ、ここからは金融緩和期待、クリスマス商戦に対する期待も昂じてくるものと思われ、市場全体としては底堅い展開が続くと思われます。

 個別には欧州金融不安が依然として強いことからバンク・オブ・アメリカが大幅安、JPモルガン・チェースも軟調、大幅な赤字決算を発表したアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も大幅安となるなど金融株は軒並み軟調となりました。雇用情勢が芳しくなかったことや週末の手仕舞い売りもあり、景気敏感銘柄も軟調なものが多く、アルコアは堅調となったものの、インテルやIBM、アップルなどのハイテク銘柄が軒並み軟調、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラーも軟調となりました。前日の引け後に増収増益決算を発表したスターバックスは大幅高、この日上場したグルーポンは公開価格を31%上回る水準で引けました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高などを受けて飛び石連休の谷間にもかかわらず買いが先行、手仕舞い売りに押される場面もありましたが、大きく方向感がでるわけでもなく、指数は小動きとなりました。引けを意識する時間帯から先物を中心に主力銘柄に買い戻しがみられ、値持ちの良い展開とはなったのですが、あくまでも買い戻しが主体とみられ、腰の据わった買いもなく、大幅高ながらも盛り上がりに欠ける展開でした。

 週末の米国市場が軟調となったことや先週末の大幅高の反動から売り先行となりそうです。ただ、ギリシャ問題などもまだまだ不安はあるものの「何とかなりそうだ」との見方もあり、大きく下押す要因も少なく、指数は小動きとなりそうです。決算発表が続々と行なわれるなかで、円高の影響やタイの洪水の影響から芳しくない決算を示す企業も多く、為替動向の見通しがみえないところでは積極的な売り買いはみられないと思われます。先行きへの警戒感から輸出株よりも内需銘柄が幕間つなぎ的に物色されそうです。

 日経平均は先週末に節目とみられる8800円水準まで戻りましたが、節目を抜けるだけの材料にも乏しく、上値の重い展開が続きそうです。決算動向を見ても円高の影響などが大きく、先行きに慎重な見方が多いなかでは節目とみられる8800円〜900円水準を抜け切れず、再度8500円〜600円水準の節目を試す場面もあるのかもしれません。円高の進行が止まる、あるいは円安方向に振れるということになれば次の節目である9200円〜300円水準を目指すことになるのでしょう。

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