焦点はギリシャからイタリアへ、欧州は債務危機を乗り越えられるか藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

» 2011年11月07日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]
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イタリアのプライマリーバランスは日本よりマシだが……

 ただ、イタリアの国債がこれ以上売り込まれるようなことになれば、せっかく10月末にまとめた包括支援策でも足りなくなることは明白だ。EFSFは少なくとも2兆ユーロ(約214兆円)以上に増額しなければならないと言われている。さらにジョージ・ソロス氏は、ロイターのインタビューに答えて、こんな気になる発言もしている。

 「債務危機に備えて欧州は十分な資金力(ビッグ・バズーカ砲)を手に入れたと言うことができるが、それを銀行などに注入してしまってはだめだ。保証するだけにしておけばビッグ・バズーカを温存しておくことが可能だが、使ってしまえばまた資金を集めなければならない」。この発言を裏返せば、1兆ユーロでは足りないことは明白であるということである。

 ギリシャに次いで窮地に陥っているイタリアは、しかし、いわゆるプライマリーバランスで見ると赤字ではない。IMFがイタリアに対して融資枠の設定を申し出たが、イタリアはそれを断ったとベルルスコーニ首相は語っている(もっともIMFのラガルド専務理事はそんなオファーはしていないと語っていて、真相はよく分からない)。ベルルスコーニ首相にとってみれば、ユーロ圏で第3位の規模をもつイタリアが、ギリシャに次いで標的にされるのは侮辱的に感じられるはずだ。

 日本は、数字で見ればこのイタリアよりもひどい状態。G20首脳会議で野田首相は消費税引き上げについて「国際公約」したが、焼け石に水のような増税だ。この状態が続けば、日本の国際収支が赤字になったとき、日本の国債が売り込まれることは間違いない。それが2年後なのか、3年後なのか。現在の超円高で残り時間が短くなりつつあることは明らかである。

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