会社の哲学に従えない人は辞めるべきか?吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年11月04日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 時事日想の記事「35歳になった時に心得ていないと、もっとヤバイこと」の最後で、人事コンサルタントで株式会社イマジナの代表を務める奥山由実子さんがこのように語った。

 「職務遂行能力が高くとも、会社の哲学とその人の考え方が決定的に違う場合は、入社させない方がいい」

 このことに私もおおむね同感だが、実は自分の心のどこかで“戸惑い”がある。「会社の哲学」の定義があいまいなまま、この言葉が職場で使われ、浸透すると、問題が生じないだろうか。

 最悪の場合、経営者の考えや発言が「会社の哲学」として受け止められ、社員はいかなるときもそれに従うことが求められないだろうか、と思えた。そんな疑問を解消するためにも、奥山さんに改めて取材を試みた。

 まず、奥山さんは「『会社の哲学』は、『価値観』や『経営目標』といった言葉に置き換えることもできる」として、その重要性を説く。

 「その会社がどこを目指すか。これが1つの哲学と言える。例えば、少々厳しい壁にぶつかろうともエベレストのように世界ナンバー1を狙うのか。それとも日本でトップの富士山か、あるいは東京の端にある高尾山か……。目指すレベルにより、社員の意識や質も変わる。会社の哲学や目標がはっきりしないと、社員もついていけない」

 ここで、私は尋ねた。では、会社の哲学や目標に合わないと感じた時、その社員は辞めるべきなのか。奥山さんは、こう答える。

 「私は辞めた方がいい、と思う。そもそも、会社の哲学などに従うことができない人がそこに残ること自体に無理がある。そのような不満や迷いがある人は、いずれ辞める。それならば、今すぐに辞めた方がいい。ただし、楽な職場はない。次の職場に移ろうとも、そこでそこの哲学や価値観に従えないなら、同じようなことが続く」

 奥山さんは米国で長くビジネスをしてきたこともあり、厳しく合理的な考えを持っている。ここからが私の心の中にある、戸惑いのようなものである。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.